本日は、長年大学病院の口腔外科で数千件の症例を診てこられた専門医に、舌の痛みに何科が対応すべきか、そして特に注意が必要なサインについてお話を伺いました。先生は開口一番、「舌の痛みは、時に命に関わるSOSであることが多い」と警鐘を鳴らします。多くの患者さんが、舌の違和感を口内炎だと思って市販の薬で済ませようとしますが、実はその影に舌がんが隠れているケースが少なくないのです。先生によれば、歯科口腔外科を受診すべき最も緊急性の高いサインは「硬さ」だと言います。口内炎であれば周囲の組織は柔らかいままですが、がんの場合は患部の周囲がしこりのように硬くなります。また、二週間経っても形が変わらない、あるいは徐々に大きくなっている場合は、迷わず専門医の診察を受けてほしいとのことです。また、先生は「舌の痛みは何科か」という問いに対して、耳鼻咽喉科との連携についても言及されました。舌の付け根や側面の後方は、口腔外科と耳鼻科の領域が重なる場所です。嚥下時に痛みを感じたり、耳の奥まで響くような痛みがあったりする場合は、咽頭がんの可能性も否定できないため、ファイバースコープを備えた耳鼻咽喉科での精密検査が不可欠となります。一方で、現代病とも言える「スマホ舌」についても興味深いお話をいただきました。長時間下を向いてスマートフォンを操作することで、舌が常に下の歯に押し付けられ、慢性的な炎症や痛みが生じることがあるそうです。この場合は、診療科の選択以前に生活習慣の改善が求められます。先生は診察室で、患者さんの舌だけでなく、全身の表情や話し方にも注目されています。舌の痛みによって滑舌が悪くなっているのか、それとも神経の麻痺があるのか。こうした細かな観察が、脳血管疾患の早期発見に繋がることもあるのです。最後に先生は、「自分の舌を毎日観察する習慣を持ってください」と締めくくられました。朝の歯磨きの際に舌を出し、色、形、動きをチェックする。もし少しでも「昨日と違う」と感じ、それが数日続くようなら、迷うことなく歯科口腔外科や耳鼻咽喉科の門を叩いてほしいというメッセージをいただきました。専門医の目による一度の診断が、将来の大きなリスクを回避するための最大の防御策になることを、私たちは改めて認識しなければなりません。
口腔外科の専門医が語る舌の痛みに潜む重大な病の予兆