NCUで働く医療スタッフに最も求められる技術の一つが、正確で迅速な神経学的アセスメントです。これは、患者さんの意識レベル、運動機能、感覚、脳神経の働きを評価し、脳の状態を推測するプロセスです。最も一般的に用いられるのはグラスゴー・コーマ・スケールであり、開眼、言語反応、運動反応の三つの項目を点数化して意識障害の程度を測ります。しかし、NCUという特殊な環境では、これだけでは不十分です。例えば、人工呼吸器を装着している患者さんでは言語反応の評価ができないため、どのような代替手段でコミュニケーションの糸口を掴むかが課題となります。瞬き一回で肯定、二回で否定といった合図を決め、脳の機能がどこまで保たれているかを探る作業は、非常に粘り強さが要求されます。また、瞳孔の観察は脳幹の機能を知るための最優先事項です。左右の大きさが一ミリでも異なれば、脳ヘルニアの兆候かもしれないと身構えます。ライトを当てた際の縮瞳のスピードや、眼球の動きの偏りなども、重要な診断材料となります。運動機能の評価においては、単に動くかどうかだけでなく、刺激を避けるような逃避運動なのか、あるいは不自然な除皮質硬直や除脳硬直といった反応なのかを見極める必要があります。さらに、NCUの看護においては、これらの所見を単発で捉えるのではなく、時系列のトレンドとして捉えることが重要です。四時間前と比較して、痛み刺激に対する手の動かし方が鈍くなっていないか。その変化の兆しを捉えるために、アセスメントの基準をチーム内で完全に一致させておくことが求められます。熟練したNCUのスタッフは、患者さんのわずかな表情の強張りや、自発呼吸のパターンの変化から、モニターの数値が動く前に異変を予知することがあります。これは、膨大な数の患者さんを看てきた経験からくる直感と、解剖生理学に基づいた理論的な分析が組み合わさった、まさに職人技といえるものです。神経学的アセスメントは、患者さんの脳内で今何が起きているのかを読み解くための言語であり、私たちはその言葉を一字一句逃さぬよう、心血を注いで観察を続けています。
NCUにおける神経学的アセスメントの実践技術