花粉が飛散する季節になると、目を取り出して丸洗いしたくなるほどの、耐え難いかゆみと充血に悩まされる。コンタクトレンズはゴロゴロして入れていられない。そんな、目の症状が特に辛い花粉症の場合、頼るべきは眼の専門家、眼科医です。花粉によって引き起こされる目のアレルギー症状は、「アレルギー性結膜炎」と呼ばれ、眼科がその診断と治療の専門となります。多くの人が、市販の目薬で何とかしのいでいるかもしれませんが、眼科を受診することには、それを上回る大きなメリットがあります。まず、正確な診断が受けられることです。目のかゆみや充血の原因は、アレルギーだけとは限りません。細菌やウイルスによる結膜炎や、ドライアイ、あるいは他の眼の病気が隠れている可能性もあります。自己判断で市販の目薬を使い続けることで、かえって症状を悪化させたり、本来必要な治療の開始が遅れたりするリスクがあるのです。眼科では、細隙灯顕微鏡という専門的な器具で目の表面を詳細に観察し、アレルギーによるものなのか、他の原因はないのかを的確に診断してくれます。そして、診断に基づいて、あなたの症状に最も合った、効果的な点眼薬を処方してもらえるのが最大の利点です。処方される点眼薬には、かゆみの原因となるヒスタミンの働きをブロックする「抗ヒスタミン薬」、アレルギー反応そのものを抑える「抗アレルギー薬(メディエーター遊離抑制薬)」、そして炎症が非常に強い場合には「ステロイド点眼薬」など、様々な種類があります。市販薬に比べて成分の濃度が高く、効果が期待できるだけでなく、防腐剤の入っていない、目に優しいタイプの薬を処方してもらうことも可能です。特に、コンタクトレンズを使用している人は、レンズとの相性や、点眼のタイミングなど、専門的な指導を受けることが目の健康を守る上で不可欠です。目のかゆみを我慢して擦ってしまうと、結膜や角膜を傷つける原因にもなります。辛い目の症状は、眼科医に相談し、適切な治療で快適な春を迎えましょう。