競泳を本格的にやっている人間にとって、まぶたの不調、特にものもらいは死活問題です。練習を一日休むだけで感覚が鈍り、タイムに影響が出る厳しい世界ですが、それでも「ものもらい」ができた時は、水泳とどう向き合うべきか真剣に考えざるを得ません。私が高校の水泳部にいた頃、インターハイの予選直前に左目がものもらいでパンパンに腫れ上がったことがありました。コーチには「うつらないから大丈夫だ」と言われ、自分も気合いで乗り切ろうとしましたが、現実は甘くありませんでした。水泳という競技は、常にプールの水と接しています。ゴーグルをしているとはいえ、ターンや飛び込みの衝撃で水は必ず入り込みます。その一滴に含まれる塩素が、炎症を起こしたまぶたをこれでもかと刺すのです。練習中、痛みで片目を閉じながら泳いでいると、コースロープに手をぶつけたり、他の部員と衝突しそうになったりと、集中力が散漫になってしまいました。さらに、ゴーグルのゴムの圧迫が腫れた部位を締め付け、練習が終わる頃には腫れがさらに肥大化し、目は赤鬼のように充血していました。結局、医師からは「このままでは膿が溜まって切開が必要になる」と告げられ、強制的に三日間の完全休養を言い渡されました。その時学んだのは、スポーツマンとしての責任感は、無理をすることではなく、最短で戦線に復帰することだという事実です。三日間、一切水に入らずに薬と睡眠に集中した結果、腫れは驚くほど速やかに引き、予選には万全の状態で臨むことができました。水泳選手がものもらいになった時、一番の敵はプールの水そのものではなく、自分の「練習を休みたくない」という焦りです。ゴーグルを清潔に保つこと、練習後は専用の洗浄液でアイケアを行うこと、そして何より異変を感じたら即座に強度を落として休息を取ること。これが、プールと長く付き合っていくための水泳界の鉄則です。特に麦粒腫のような急性の炎症は、初期の数日間が勝負です。そこで欲張って水を浴びてしまえば、治癒は二倍も三倍も遅れます。今、ものもらいを抱えながらプールの入り口で立ち止まっている後輩たちがいたら、私は迷わず「三日休め」とアドバイスします。それはタイムを縮めるための積極的な休息であり、自分という最高の道具を大切にするプロフェッショナルな判断なのです。水の中では健康な身体こそが最大の武器になります。ものもらいを軽視せず、まずはその目をしっかりと治すことに全力を注いでください。その先に、ベストタイムを更新できる輝かしい瞬間が待っているはずです。
水泳部員が経験したものもらいと練習の両立