病院で「体重減少」を主訴として受診した際、どのようなプロセスで診断が進められるのかを、医学的なフローに基づいて解説します。医師が最初に目指すのは、体重減少の原因を「器質的疾患(体の病気)」「精神的疾患(心の病気)」「社会的・薬原性要因(環境や薬)」の三つのグループに仕分けることです。まず第一段階として行われるのは、詳細な病歴聴取と身体診察です。腹部の腫瘤がないか、甲状腺の腫れはないか、リンパ節は腫れていないかを触診で確認します。第二段階は、基本的なスクリーニング検査です。これには血液検査、尿検査、便潜血検査が含まれます。血液検査では、赤沈やCRPで炎症の有無を、HbA1cで糖尿病の可能性を、TSHやFT4で甲状腺機能を、ASTやALTで肝機能を、BUNやクレアチニンで腎機能を確認します。もし炎症反応が高く、貧血が見られる場合は、どこかで出血やがんが起きている可能性を疑い、第三段階の精密検査へと進みます。ここで行われるのが画像診断です。胸部・腹部のレントゲン、超音波検査(エコー)、そしてがんの早期発見に威力を発揮するCT検査やMRI検査です。さらに消化管の異常が疑われる場合は、内視鏡検査が追加されます。もし、これらすべての身体的検査で異常が見つからない場合、医師は精神的な評価や、服用している薬剤の整理、さらには高齢者の場合は認知症の可能性などを検討します。体重減少は何科に行くべきかという迷いの背景には、こうした複雑な診断の裏側があります。しかし、現代の医療では、このフローに沿って検査を進めることで、原因不明のまま放置されることは少なくなっています。自分一人で「がんかもしれない」と怯える時間は、解決を遠ざけるだけです。科学的なデータに基づいて一つずつ可能性を消していく作業は、不安を安心に変えるプロセスでもあります。検査には時間と費用がかかることもありますが、体重減少という全身の異変を精査することは、自分というシステムを総点検する貴重な機会です。原因を特定し、適切な治療を開始することが、心身ともに軽やかな生活を取り戻すための、最も確実な唯一の地図となるのです。