溶連菌感染症という病気は、急性期の喉の痛みや高熱が去った後にも、子供の皮膚に特有の余韻を残します。ある三歳の男児のケースを振り返ると、その特徴的な経過がよく分かります。その子は突然の三十九度の熱と嘔吐で発症し、喉の検査で溶連菌陽性と診断されました。診断時、母親が特に気にしていたのは、手のひら全体が真っ赤になり、細かな湿疹のようなざらつきがあったことでした。抗生物質の投与により二日で解熱し、喉の痛みも引きましたが、手のひらの赤みは数日間持続しました。その後、発症からちょうど十日が経過した頃、再び母親から電話がありました。「熱はないのに、指先の皮が剥けてきた、何かの副作用ではないか」という不安な声でした。実際に診察すると、両手の指先から爪の生え際にかけて、皮膚の表層が白く浮き上がり、鱗のようにペリペリと剥がれ始めていました。これは、溶連菌の紅斑毒素によって一時的に皮膚が炎症を起こし、その後に古い角質が剥がれ落ちる「膜様落屑」という現象です。この皮剥けは、急性期の湿疹が強ければ強いほど顕著に現れる傾向があります。指先から始まった落屑は、数日をかけて手のひらの中心部へと広がり、最後には足の裏の皮も同じように剥けていきました。子供本人は痛がることも痒がることもなく、ただ面白がって剥がそうとしていましたが、無理に剥がすと新しい皮膚を傷つけてしまうため、自然に落ちるのを待つよう指導しました。多くの親御さんは、この段階で再び感染力が強まったのではないかと心配されますが、抗生物質を適切に服用していれば、この皮剥けの時期に他人に感染させることはありません。溶連菌という細菌は、喉という一点から始まり、血液を介して全身、そして最後には末端である手のひらや足の裏にまでその痕跡を残します。この一連の流れは、体が細菌の毒素を処理し、正常な組織へと作り替えようとしている修復のプロセスそのものです。手のひらの湿疹から始まり、最後には皮が剥けて終わるというこの劇的なサイクルを知っておくことは、病気の予後を予測し、不要な不安を解消するために非常に重要です。子供の皮膚が再びつるつるの状態に戻ったとき、それは溶連菌という強敵に体が完全に勝利したことを意味しています。
溶連菌の影響で子供の手のひらの皮が剥けるまでの経過