二週間、三週間、あるいは一ヶ月以上も咳が続いている。市販の咳止めを飲んでも、一向に良くなる気配がない。それはもう、単なる「風邪のなごり」ではないかもしれません。長引く咳、医学的には「遷延性咳嗽(せんえんせいがいそう)」や「慢性咳嗽(まんせいがいそう)」と呼ばれるこの症状の裏には、専門的な治療を必要とする、様々な呼吸器の病気が隠れている可能性があります。このような場合に最も頼りになるのが、呼吸器内科です。呼吸器内科では、単に咳を止めるだけでなく、「なぜ咳が出ているのか」という根本原因を徹底的に探ります。例えば、夜間や早朝に決まって咳き込む、季節の変わり目や特定の場所で咳が悪化する、といった症状があれば、「咳喘息」や「気管支喘息」が疑われます。これらは、アレルギー反応などによって気道に慢性的な炎症が起き、過敏になっている状態です。治療には、一般的な咳止めではなく、気道の炎症を抑える吸入ステロイド薬が不可欠であり、これは呼吸器内科の専門的な治療領域です。また、レントゲンでは異常が見つからないものの、痰の絡んだ湿った咳が何週間も続く場合は、「副鼻腔気管支症候群」の可能性もあります。これは、慢性的な副鼻腔炎(蓄膿症)と気管支炎が合併した状態で、耳鼻咽喉科と呼吸器内科の連携が必要となることもあります。さらに、忘れてはならないのが、肺炎や肺結核、そして肺がんといった、命に関わる重大な病気の可能性です。特に、咳に血が混じる(血痰)、体重が減少する、微熱が続くといったサインが見られる場合は、決して放置してはいけません。呼吸器内科では、CT検査や気管支鏡検査といった、より精密な検査を通じて、これらの病気を見逃さないように努めます。風邪は、通常であれば一週間から十日ほどで治癒に向かうものです。それ以上続く咳は、体が発している何らかの異常信号です。そのサインを軽視せず、呼吸器の専門家である呼吸器内科を受診し、咳の本当の原因と向き合う勇気を持ってください。
その咳は風邪じゃないかも!呼吸器内科のすすめ