つらい痛みを伴う足底腱膜炎。治療によって一度症状が改善しても、その原因となった生活習慣や身体的特徴が改善されなければ、再発のリスクは常に残ります。二度とあの痛みを繰り返さないためには、日々の生活の中で、足底腱膜に優しい「予防」を意識することが何よりも大切です。予防の最大のポイントは、「足底腱膜への過剰な負担を避ける」ことに尽きます。まず、運動習慣を見直しましょう。ランニングなどを行う前には、必ずウォーミングアップとして、アキレス腱やふくらはぎ、足裏のストレッチを十分に行い、筋肉や腱の柔軟性を高めておくことが重要です。運動後も、クールダウンとして同様のストレッチを忘れずに行いましょう。また、急に走行距離を伸ばしたり、練習強度を上げたりするのではなく、段階的に負荷を増やしていくことが、オーバーユースを防ぎます。次に、日常生活において非常に重要なのが「靴選び」です。自分の足に合っていない靴は、足底腱膜炎の大きなリスクファクターです。選ぶべきは、①十分なクッション性を持ち、かかとへの衝撃を和らげてくれる靴、②土踏まずの部分を適切にサポートしてくれるアーチサポート機能のある靴、③かかと部分が硬く、足をしっかりと固定してくれる靴、です。ヒールが高すぎる靴や、靴底がペラペラに薄いフラットシューズなどは、日常的に履き続けるのは避けた方が賢明です。必要に応じて、スポーツ用品店や専門医に相談し、自分の足に合ったインソール(足底板)を使用するのも、非常に効果的な予防策となります。さらに、体重管理も忘れてはなりません。体重が増えれば、それだけ歩行時や走行時に足裏にかかる負担が増大します。バランスの取れた食事と適度な運動で、適正体重を維持することは、足の健康を守る上でも不可欠です。これらの予防策は、足底腱膜炎を経験した人はもちろん、立ち仕事が多い人や、これからスポーツを始めようとする人にとっても、知っておくべき重要な知識と言えるでしょう。