花粉症の季節になると、目や鼻だけでなく、顔や首筋の皮膚がかゆくなったり、カサカサに乾燥したり、赤みや湿疹が出たりする。このような、花粉が原因で起こる肌トラブルは「花粉皮膚炎」と呼ばれ、近年、多くの人を悩ませています。特に、アトピー性皮膚炎など、もともと肌のバリア機能が弱い人は、症状が悪化しやすい傾向にあります。このつらい肌の悩みを相談するのに最も適した専門家は、言うまでもなく皮膚科の医師です。花粉皮膚炎は、二つのメカニズムで起こると考えられています。一つは、鼻や目から入った花粉に対するアレルギー反応が、血流に乗って全身に広がり、皮膚に症状として現れるケース。もう一つは、花粉そのものが直接、肌に付着し、皮膚のバリア機能を突き破って内部に侵入し、そこで接触皮膚炎(かぶれ)を引き起こすケースです。特に、肌のバリア機能が低下していると、後者の影響を受けやすくなります。皮膚科を受診すると、まず、その肌荒れが本当に花粉によるものなのか、それとも他の原因(化粧品かぶれ、乾燥性湿疹、アトピー性皮膚炎の悪化など)はないのかを、専門家の目で的確に診断してくれます。診断に基づいて、適切な治療薬を処方してもらえるのが最大のメリットです。治療の基本は、炎症を抑える「ステロイド外用薬(塗り薬)」と、かゆみを抑える「抗ヒスタミン薬(飲み薬)」です。ステロイド外用薬には様々な強さのランクがあり、皮膚科医は、症状の重さや、顔、首といった皮膚の薄い部位に合わせて、最も適切な強さの薬を選択してくれます。また、低下してしまった肌のバリア機能を回復させるために、保湿剤(ヘパリン類似物質など)を処方し、日々の正しいスキンケアの方法についても、具体的に指導してくれます。「花粉から肌を守るための洗い方」「刺激の少ない保湿剤の選び方」「日焼け止めの重要性」など、専門家ならではのアドバイスは、症状の改善と再発予防に非常に役立ちます。花粉による肌荒れを、ただの季節的なものと諦めず、一度、皮膚科に相談してみてはいかがでしょうか。