なぜ痛む?足底腱膜炎の主な原因とリスク要因
かかとの鋭い痛みを引き起こす足底腱膜炎は、なぜ起こるのでしょうか。その根本的な原因は、足の裏にある衝撃吸収の要、足底腱膜への「繰り返される過剰な負荷」にあります。具体的に、どのような要因がそのリスクを高めるのかを知ることは、予防と対策の第一歩となります。最も大きな原因の一つが「オーバーユース(使いすぎ)」です。長距離のランニングやジャンプを繰り返すスポーツ、あるいは販売員や教師、工場作業員など、長時間立ちっぱなしの仕事に従事している人は、足底腱膜に常に負担がかかり続けるため、発症のリスクが高まります。また、急に運動量を増やしたり、硬い地面の上でトレーニングを行ったりすることも、足底腱膜を傷つける引き金となります。加齢による組織の変化も、見逃せない要因です。年齢を重ねると、足底腱膜自体の柔軟性が失われ、硬くなっていきます。同時に、かかとの下にある衝撃を和らげるための脂肪層も薄くなってくるため、衝撃を吸収しきれなくなり、炎症が起こりやすくなるのです。40代以降に発症者が増えるのはこのためです。足の形、いわゆる「アライメント」も関係します。土踏まずがない「扁平足(へんぺいそく)」の人は、足底腱膜が常に引き伸ばされた状態になりやすく、逆に土踏まずが高すぎる「ハイアーチ(凹足)」の人は、膜に掛かる張力が強くなり、どちらも負担増に繋がります。さらに、体重の増加も、歩行時の一歩一歩にかかる衝撃を増大させ、足底腱膜への直接的な負荷となります。そして、クッション性の悪い靴や、自分の足に合っていない靴を履き続けることも、足裏への負担を増やし、足底腱膜炎のリスクを高める重要な要因です。これらのリスク要因が、単独あるいは複合的に関わり合うことで、あのつらい痛みは引き起こされるのです。