家の周りで蜂の巣を見つけたとき、それがどの蜂の巣かによって、その後の危険度や対処法は大きく変わります。特に、巣の成長速度は蜂の種類によって全く異なります。ここでは、住宅地でよく見かけるアシナガバチと、最も危険とされるスズメバチの巣の成長を比較してみましょう。まず、アシナガバチの巣です。シャワーヘッドのような形をしており、六角形の巣穴が下から見えるのが特徴です。春先に女王蜂が単独で作り始め、最初のうちは一日に数ミリ程度のゆっくりとした成長です。働き蜂が羽化してからも、巣の拡大は比較的穏やかで、最盛期でも一日あたり数センチ四方が大きくなる程度です。最終的な大きさも、大きくても直径十五センチほどで、スズメバチに比べれば小規模です。次にもし見つけたのがスズメバチの巣だった場合、話は全く違ってきます。キイロスズメバチやオオスズメバチなどの巣は、初期段階では徳利を逆さにしたような形をしていますが、成長するにつれて丸いボール状になり、表面には特徴的な縞模様が現れます。スズメバチの巣の成長速度はアシナガバチの比ではありません。働き蜂の数が爆発的に増える夏場には、一日で直径が数センチも大きくなることがあります。朝に野球ボールくらいの大きさだった巣が、翌日にはバレーボールのように膨れ上がっている、ということも十分にあり得るのです。最終的には直径五十センチを超える巨大な巣になることも珍しくありません。この成長速度の違いは、働き蜂の数と活動量の差に起因します。スズメバチはアシナガバチよりもはるかに多くの働き蜂を育て、より組織的に巣作りを行うため、驚異的なスピードで巣を巨大化させることができるのです。もし見つけた巣が日に日に急激に大きくなっていると感じたら、それはスズメバチの巣である可能性が高いと考え、すぐに専門家に相談することが賢明です。
スズメバチとアシナガバチ巣の成長比較