毎年二月になると、私の鼻は完全にその機能を失いました。花粉症による、息もできないほどの頑固な鼻づまり。夜は口呼吸で喉がカラカラになり、日中は頭がボーッとして仕事に集中できない。そんな地獄のような日々を、私は十年以上も繰り返してきました。薬を飲んでも、その効果は一時的。いつしか私は、「花粉症とは、こういうものだ」と諦めていました。そんな私が、ある日、同僚から耳にしたのが、耳鼻咽喉科で受けられる「レーザー治療」の話でした。半信半疑でしたが、藁にもすがる思いで、私は近所の耳鼻咽喉科の門を叩きました。診察室で、長年の悩みを話すと、医師は私の鼻の中をカメラで確認し、「ああ、これは粘膜がひどく腫れていますね。レーザー治療の良い適応ですよ」と言いました。治療は、花粉が本格的に飛散する前に行うのが効果的とのことで、私はその年の十二月に治療を受けることを決意しました。治療当日は、少し緊張しました。まず、鼻の中に麻酔薬を浸したガーゼを入れ、二十分ほど待ちます。麻酔が効いてくると、鼻の中がじんわりと痺れてくるのがわかりました。そして、いよいよレーザー照射です。医師が細い器具を鼻に入れ、粘膜を焼いていきます。チリチリという音と、少し焦げ臭い匂いがしましたが、麻酔のおかげで痛みはほとんどありませんでした。両方の鼻を合わせても、治療時間は十分ほどで、あっけなく終わりました。治療後、数日間は鼻水やかさぶたが出ましたが、一週間もすると、鼻の通りが明らかに良くなっていることに気づきました。そして、運命の二月。例年なら、すでに鼻が詰まり始めているはずなのに、その年は、驚くほどスムーズに呼吸ができたのです。もちろん、多少の鼻水やくしゃみは出ましたが、あの悪夢のような鼻づまりは、全くありませんでした。レーザー治療は、全ての人に同じ効果があるわけではなく、効果も永続的ではないと聞いています。しかし、私にとって、この治療は長年の苦しみから解放してくれた、まさに救世主でした。花粉症の鼻づまりに本気で悩んでいるなら、一度、耳鼻咽喉科で相談してみる価値は、大いにあると思います。
私がレーザー治療で長年の鼻づまりを克服した話