医療・製薬・研究関連の最新ニュース発信

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  • 花粉症の悩みは何科へ相談すべきか

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    春先になるとやってくる、くしゃみ、鼻水、目のかゆみ。多くの人を悩ませる花粉症ですが、いざ症状が辛くなって病院へ行こうと思っても、「一体、何科を受診すれば良いのだろう?」と迷ってしまう方は少なくありません。結論から言うと、花粉症の治療は、内科、耳鼻咽喉科、眼科、皮膚科、そしてアレルギー科など、複数の診療科で受けることが可能です。どの科でも、基本的な抗アレルギー薬の処方などは受けられますが、それぞれの科で得意とする分野や治療のアプローチが異なります。そのため、自分の最もつらい症状に合わせて診療科を選ぶのが、効率的な治療への近道と言えます。例えば、鼻水や鼻づまり、くしゃみといった鼻の症状が特にひどい場合は、鼻の専門家である耳鼻咽喉科が最適です。専門的な器具で鼻の中の状態を直接診てもらえ、ネブライザー治療や、場合によってはレーザー治療といった選択肢も考えられます。目のかゆみや充血、涙が止まらないといった目の症状に悩まされているなら、眼の専門家である眼科を受診するのがベストです。アレルギー性結膜炎の診断を受け、症状に合わせた効果的な点眼薬を処方してもらえます。咳や体のだるさといった全身症状も伴う場合や、アレルギー体質そのものを相談したい場合は、内科やアレルギー科が適しています。アレルギーの原因を特定するための血液検査や、将来的な体質改善を目指す治療(舌下免疫療法など)の相談も可能です。また、花粉が原因で肌荒れやかゆみが起きる「花粉皮膚炎」の場合は、皮膚科が専門となります。このように、まずは自分のどの症状が一番つらいのかを考え、それに対応する専門科を選ぶのが基本です。もし迷うようであれば、普段から自分の体調をよく知ってくれている、かかりつけの内科医に相談し、そこから適切な専門医を紹介してもらうという方法も賢明な選択と言えるでしょう。

  • 溶連菌の後に発疹が出ても慌てないために

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    子供が溶連菌感染症にかかり、ようやく治ったと思った一週間後。体に広がる新たな発疹を見つけると、親は「また病気?」「悪化したの?」と、不安な気持ちでいっぱいになるものです。しかし、このような時にこそ、親が冷静でいることが大切です。回復期の発疹で慌てないために、考えられる原因とその対処法を、改めて整理しておきましょう。まず、一週間後に現れる発疹で最も可能性が高いのは、抗生物質などに対するアレルギー反応である「薬疹」です。この場合、子供は熱もなく元気で、発疹だけが出ていることがほとんどです。自己判断で薬をやめず、必ず処方してくれた医師に連絡し、指示を仰ぎましょう。次に考えられるのが、「別のウイルス感染症の併発」です。溶連菌と戦って体力が落ちている時に、他のウイルスに感染し、少し遅れて発疹が出てくるケースです。この場合は、そのウイルスに特有の症状(例えば、再び熱が出るなど)を伴うことがあります。これも、かかりつけ医に診てもらうことで、原因を特定できます。そして、発疹ではなく、指先の皮がむけてくる「落屑」である場合もあります。これは、溶連菌の毒素によってダメージを受けた皮膚が、回復過程で剥がれ落ちている正常な反応です。心配はいりません。ごく稀なケースとして、リウマチ熱などの合併症のサインである可能性もゼロではありませんが、その場合は、発疹だけでなく、関節の激しい痛みや、心臓の症状など、他の深刻な症状を伴います。いずれのケースにおいても、親がすべきことは共通しています。それは、「子供の全身状態をよく観察すること」そして「自己判断せず、かかりつけ医に相談すること」です。熱はないか、元気や食欲はあるか、発疹以外の症状はないか。これらの情報を正確に医師に伝えることが、正しい診断への一番の近道です。一週間後の発疹は、親を驚かせる出来事ですが、そのほとんどは適切に対処すれば問題なく治癒します。正しい知識を持って、落ち着いて対応しましょう。

  • 咳が止まらない時の市販薬の選び方と注意点

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    長引く咳で病院へ行く時間がない時、多くの人がまず頼りにするのが市販薬です。しかし、薬局の棚には様々な種類の咳止め薬が並んでおり、どれを選べば良いのか迷ってしまうことも多いでしょう。誤った薬を選ぶと、効果がないばかりか、症状を悪化させてしまう可能性もあります。市販薬を賢く選ぶためのポイントと、その注意点を理解しておきましょう。まず、咳には、痰の絡まない「乾性咳嗽(かんせいがいそう)」と、痰が絡む「湿性咳嗽(しっせいがいそう)」の二種類があり、それぞれ適した薬の成分が異なります。乾いた「コンコン」という咳が続く場合は、咳そのものを中枢から鎮める「鎮咳成分(ちんがいせいぶん)」が配合された薬が適しています。デキストロメトルファンや、リン酸コデイン(指定第2類医薬品)などがこれにあたります。咳の発作がひどく、夜も眠れないといった場合に有効です。一方、痰が絡む「ゴホゴホ」という湿った咳の場合は、無理に咳を止めてしまうと、気道に溜まった痰を排出できず、かえって症状を悪化させる原因になります。この場合は、痰を出しやすくすることを目的とした「去痰成分(きょたんせいぶん)」が配合された薬を選ぶべきです。カルボシステインやアンブロキソールなどが代表的な成分で、これらは痰の粘り気を下げて、排出しやすくする働きがあります。このように、自分の咳のタイプを見極めて、それに合った成分の薬を選ぶことが第一のポイントです。しかし、市販薬を使用する上で、最も重要な注意点があります。それは、「市販薬は、あくまで一時的な症状緩和のためのもの」と心に留めておくことです。市販薬を五日から一週間ほど服用しても、症状が全く改善しない、あるいは悪化するような場合は、その咳の原因が、市販薬では対応できない病気である可能性が高いです。例えば、咳喘息や気管支喘息、肺炎、あるいは鼻の病気など、専門的な診断と治療が必要なケースです。その場合は、速やかに市販薬の使用を中止し、必ず医療機関を受診してください。自己判断で市販薬をだらだらと飲み続けることが、根本的な病気の発見を遅らせ、重症化を招く最も大きなリスクとなるのです。

  • 花粉症で病院へ行く前に準備しておくこと

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    つらい花粉症の症状を何とかしたくて、病院へ行こうと決心した時。限られた診察時間の中で、医師に自分の状態を的確に伝え、より効果的な治療を受けるためには、事前に少しだけ準備をしておくと、診察が格段にスムーズになります。ぜひ、受診前に以下の点について、簡単なメモを作成してみてください。まず、最も重要なのが「症状の具体的な内容」です。いつから、どんな症状に悩まされているのかを、できるだけ詳しく伝えられるようにしておきましょう。「二週間前から、透明でサラサラした鼻水が止まらない」「朝起きた時が一番くしゃみがひどい」「目のかゆみで、夜中に目が覚めてしまう」など、具体的な状況を伝えることで、医師は症状の重さやパターンを把握しやすくなります。鼻、目、喉、皮膚、全身症状など、気になる症状はすべて書き出しておきましょう。次に、「これまでの治療歴」も大切な情報です。市販の薬を試した場合は、その薬の名前(箱などを持参すると確実です)と、効果がどうだったか(効いた、あまり効かなかった、眠くなったなど)を伝えてください。過去に病院で処方された薬があれば、お薬手帳を持参しましょう。これにより、医師はあなたに合った薬を選びやすくなり、副作用のリスクも減らすことができます。また、「日常生活への影響」を伝えることも、治療方針を決める上で参考になります。「鼻づまりで夜眠れない」「集中力が続かず、仕事に支障が出ている」「車の運転をするので、眠くならない薬が良い」といった、あなたの生活スタイルや希望を具体的に伝えることで、医師はよりパーソナライズされた治療を提案してくれます。そして、最後に「医師に聞きたいこと」をリストアップしておきましょう。診察室では緊張してしまい、聞きたかったことを忘れてしまいがちです。「この薬の副作用は?」「舌下免疫療法に興味があるのですが」「日常生活で気をつけることは?」など、疑問点をあらかじめメモしておけば、聞き漏らすことがありません。このように、少しの手間をかけて準備をすることで、あなたはただの患者ではなく、医師と協力して花fen症と戦うパートナーになることができるのです。

  • その咳は風邪じゃないかも!呼吸器内科のすすめ

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    二週間、三週間、あるいは一ヶ月以上も咳が続いている。市販の咳止めを飲んでも、一向に良くなる気配がない。それはもう、単なる「風邪のなごり」ではないかもしれません。長引く咳、医学的には「遷延性咳嗽(せんえんせいがいそう)」や「慢性咳嗽(まんせいがいそう)」と呼ばれるこの症状の裏には、専門的な治療を必要とする、様々な呼吸器の病気が隠れている可能性があります。このような場合に最も頼りになるのが、呼吸器内科です。呼吸器内科では、単に咳を止めるだけでなく、「なぜ咳が出ているのか」という根本原因を徹底的に探ります。例えば、夜間や早朝に決まって咳き込む、季節の変わり目や特定の場所で咳が悪化する、といった症状があれば、「咳喘息」や「気管支喘息」が疑われます。これらは、アレルギー反応などによって気道に慢性的な炎症が起き、過敏になっている状態です。治療には、一般的な咳止めではなく、気道の炎症を抑える吸入ステロイド薬が不可欠であり、これは呼吸器内科の専門的な治療領域です。また、レントゲンでは異常が見つからないものの、痰の絡んだ湿った咳が何週間も続く場合は、「副鼻腔気管支症候群」の可能性もあります。これは、慢性的な副鼻腔炎(蓄膿症)と気管支炎が合併した状態で、耳鼻咽喉科と呼吸器内科の連携が必要となることもあります。さらに、忘れてはならないのが、肺炎や肺結核、そして肺がんといった、命に関わる重大な病気の可能性です。特に、咳に血が混じる(血痰)、体重が減少する、微熱が続くといったサインが見られる場合は、決して放置してはいけません。呼吸器内科では、CT検査や気管支鏡検査といった、より精密な検査を通じて、これらの病気を見逃さないように努めます。風邪は、通常であれば一週間から十日ほどで治癒に向かうものです。それ以上続く咳は、体が発している何らかの異常信号です。そのサインを軽視せず、呼吸器の専門家である呼吸器内科を受診し、咳の本当の原因と向き合う勇気を持ってください。

  • 花粉による肌荒れは皮膚科へ相談しよう

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    花粉症の季節になると、目や鼻だけでなく、顔や首筋の皮膚がかゆくなったり、カサカサに乾燥したり、赤みや湿疹が出たりする。このような、花粉が原因で起こる肌トラブルは「花粉皮膚炎」と呼ばれ、近年、多くの人を悩ませています。特に、アトピー性皮膚炎など、もともと肌のバリア機能が弱い人は、症状が悪化しやすい傾向にあります。このつらい肌の悩みを相談するのに最も適した専門家は、言うまでもなく皮膚科の医師です。花粉皮膚炎は、二つのメカニズムで起こると考えられています。一つは、鼻や目から入った花粉に対するアレルギー反応が、血流に乗って全身に広がり、皮膚に症状として現れるケース。もう一つは、花粉そのものが直接、肌に付着し、皮膚のバリア機能を突き破って内部に侵入し、そこで接触皮膚炎(かぶれ)を引き起こすケースです。特に、肌のバリア機能が低下していると、後者の影響を受けやすくなります。皮膚科を受診すると、まず、その肌荒れが本当に花粉によるものなのか、それとも他の原因(化粧品かぶれ、乾燥性湿疹、アトピー性皮膚炎の悪化など)はないのかを、専門家の目で的確に診断してくれます。診断に基づいて、適切な治療薬を処方してもらえるのが最大のメリットです。治療の基本は、炎症を抑える「ステロイド外用薬(塗り薬)」と、かゆみを抑える「抗ヒスタミン薬(飲み薬)」です。ステロイド外用薬には様々な強さのランクがあり、皮膚科医は、症状の重さや、顔、首といった皮膚の薄い部位に合わせて、最も適切な強さの薬を選択してくれます。また、低下してしまった肌のバリア機能を回復させるために、保湿剤(ヘパリン類似物質など)を処方し、日々の正しいスキンケアの方法についても、具体的に指導してくれます。「花粉から肌を守るための洗い方」「刺激の少ない保湿剤の選び方」「日焼け止めの重要性」など、専門家ならではのアドバイスは、症状の改善と再発予防に非常に役立ちます。花粉による肌荒れを、ただの季節的なものと諦めず、一度、皮膚科に相談してみてはいかがでしょうか。

  • 鼻水とくしゃみが辛いなら耳鼻咽喉科へ

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    花粉症の症状の中でも、とめどなく流れ出る鼻水、連発するくしゃみ、そして息苦しいほどの鼻づまりは、日常生活の質を著しく低下させる、非常につらい症状です。このような鼻のトラブルに特化して悩んでいる場合、最も頼りになる専門家は、耳鼻咽喉科の医師です。なぜなら、耳鼻咽喉科は、その名の通り「耳・鼻・喉」のスペシャリストであり、花粉症によって引き起こされるアレルギー性鼻炎の診断と治療を、最も専門的に行ってくれるからです。耳鼻咽喉科を受診する最大のメリットは、専門的な器具を用いて、鼻の中の状態を直接、詳細に診察してもらえる点にあります。医師は、鼻鏡やファイバースコープといった器具を使い、鼻の粘膜がどの程度腫れているのか、鼻水の色や性状はどうか、鼻茸(ポリープ)ができていないかなどを、自分の目で直接確認します。これにより、症状の重症度を客観的に評価し、一人ひとりに合った最適な治療法を提案することができるのです。治療法も多岐にわたります。もちろん、抗ヒスタミン薬などの内服薬や、鼻の炎症を抑える点鼻薬の処方が基本となりますが、耳鼻咽喉科ならではの治療も受けられます。例えば、「ネブライザー治療」は、霧状にした薬剤を鼻や喉の奥に直接届けることで、粘膜の腫れや炎症を和らげる効果が期待できます。また、鼻づまりが特にひどい場合には、粘膜の腫れを一時的に緩和する処置を行ったり、長期的な改善を目指して、アレルギー反応を起こす鼻の粘膜をレーザーで焼く「レーザー治療」といった選択肢を相談したりすることも可能です。さらに、花粉症は鼻だけでなく、喉のイガイガやかゆみを引き起こすこともありますが、耳鼻咽喉科であれば、喉の状態も一緒に診てもらえるため、一石二鳥です。鼻の症状に特化して悩んでいるのなら、迷わず耳鼻咽喉科の扉を叩いてみてください。専門的なアプローチが、長年の悩みを解決する糸口になるかもしれません。

  • 目のかゆみと充血は眼科が専門です

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    花粉が飛散する季節になると、目を取り出して丸洗いしたくなるほどの、耐え難いかゆみと充血に悩まされる。コンタクトレンズはゴロゴロして入れていられない。そんな、目の症状が特に辛い花粉症の場合、頼るべきは眼の専門家、眼科医です。花粉によって引き起こされる目のアレルギー症状は、「アレルギー性結膜炎」と呼ばれ、眼科がその診断と治療の専門となります。多くの人が、市販の目薬で何とかしのいでいるかもしれませんが、眼科を受診することには、それを上回る大きなメリットがあります。まず、正確な診断が受けられることです。目のかゆみや充血の原因は、アレルギーだけとは限りません。細菌やウイルスによる結膜炎や、ドライアイ、あるいは他の眼の病気が隠れている可能性もあります。自己判断で市販の目薬を使い続けることで、かえって症状を悪化させたり、本来必要な治療の開始が遅れたりするリスクがあるのです。眼科では、細隙灯顕微鏡という専門的な器具で目の表面を詳細に観察し、アレルギーによるものなのか、他の原因はないのかを的確に診断してくれます。そして、診断に基づいて、あなたの症状に最も合った、効果的な点眼薬を処方してもらえるのが最大の利点です。処方される点眼薬には、かゆみの原因となるヒスタミンの働きをブロックする「抗ヒスタミン薬」、アレルギー反応そのものを抑える「抗アレルギー薬(メディエーター遊離抑制薬)」、そして炎症が非常に強い場合には「ステロイド点眼薬」など、様々な種類があります。市販薬に比べて成分の濃度が高く、効果が期待できるだけでなく、防腐剤の入っていない、目に優しいタイプの薬を処方してもらうことも可能です。特に、コンタクトレンズを使用している人は、レンズとの相性や、点眼のタイミングなど、専門的な指導を受けることが目の健康を守る上で不可欠です。目のかゆみを我慢して擦ってしまうと、結膜や角膜を傷つける原因にもなります。辛い目の症状は、眼科医に相談し、適切な治療で快適な春を迎えましょう。

  • 女性に多い膝の痛み、ホルモンとの意外な関係

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    膝の痛みを訴える患者さんの割合は、男性よりも女性の方が高いことが知られています。特に、中高年以降になるとその差は顕著になります。その背景には、筋力量や骨格の違いといった身体的な特徴に加え、女性特有の「ホルモンバランスの変化」が、膝の健康に深く関わっていると考えられています。女性のライフステージにおいて、膝の痛みが現れやすいタイミングは、主に二つあります。一つは「妊娠・出産期」、そしてもう一つが「更年期」です。妊娠中は、お腹が大きくなるにつれて体重が増加し、膝への負担が単純に増えます。また、出産に備えて、リラキシンというホルモンが分泌され、骨盤周りの靭帯が緩みますが、この影響は全身の関節にも及び、膝関節の安定性が低下しやすくなります。産後も、赤ちゃんの抱っこなどで膝に負担がかかり続けるため、痛みを訴える女性は少なくありません。そして、より深刻な影響を及ぼすのが「更年期」です。閉経を迎える五十歳前後になると、女性ホルモンである「エストロゲン」の分泌が急激に減少します。エストロゲンには、骨を丈夫に保つ(骨粗鬆症を防ぐ)働きや、関節の軟骨の健康を維持する働き、さらには炎症を抑える働きなど、関節を守るための様々な重要な役割があります。この「守り神」とも言えるエストロゲンが減少することで、女性の膝は一気に脆く、そして傷つきやすくなるのです。軟骨のすり減りが進行しやすくなり、「変形性膝関節症」の発症リスクが高まります。また、関節リウマチも、三十代から五十代の女性に発症しやすい自己免疫疾患であり、更年期に関節の痛みやこわばりとして現れることがあります。このように、女性の膝の痛みは、単なる加齢や使いすぎだけでなく、ホルモンの波に大きく左右されています。もし、あなたが更年期世代で、原因不明の膝の痛みや朝のこわばりに悩んでいるのであれば、それは「年のせい」と片付けず、一度、整形外科を受診することをお勧めします。また、必要に応じて、ホルモン補充療法なども行っている「婦人科」と連携して治療を進めることも、有効な選択肢の一つとなるでしょう。

  • 薬に頼る前に、自分でできる自律神経の整え方

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    自律神経失調症の治療において、医療機関での専門的な治療は非常に重要ですが、それと同時に、日々の生活の中で自分自身でできる「セルフケア」を実践することが、症状の改善と再発予防に大きな効果をもたらします。薬だけに頼るのではなく、自分の生活習慣を見直し、自律神経が喜ぶことを毎日の暮らしに取り入れてみましょう。まず、基本中の基本となるのが「生活リズムの見直し」です。私たちの体には、約二十四時間周期の体内時計が備わっており、自律神経もこのリズムに沿って働いています。このリズムを整える最も効果的な方法が、「朝日を浴びること」です。朝、起きたらカーテンを開け、太陽の光を数分間浴びましょう。これにより、体内時計がリセットされ、活動モードの交感神経へのスイッチがスムーズに入ります。また、夜は、就寝一時間前からスマートフォンの光を避け、部屋の照明を少し暗くして、リラックスモードの副交感神経が優位になるように導いてあげましょう。毎日、同じ時間に寝て、同じ時間に起きることを心がけるだけでも、自律神経は安定しやすくなります。次に、「食事」です。一日三食、バランス良く食べることが基本です。特に、幸せホルモンとも呼ばれる「セロトニン」の材料となる「トリプトファン」を多く含む、大豆製品(豆腐、納豆、味噌)、乳製品(チーズ、ヨーグルト)、バナナなどを意識して摂ると良いでしょう。また、腸内環境と自律神経は密接に関係しているため(腸脳相関)、発酵食品や食物繊維を多く摂る「腸活」も効果的です。そして、「適度な運動」も欠かせません。ウォーキングやジョギング、ヨガといった、一定のリズムを繰り返す有酸素運動は、セロトニンの分泌を促し、自律神経のバランスを整えるのに最適です。激しい運動は必要ありません。「少し汗ばむ程度」の心地よい運動を、週に数回、継続することが大切です。最後に、いつでもどこでもできる簡単なセルフケアが「深呼吸(腹式呼吸)」です。ゆっくりと鼻から息を吸ってお腹を膨らませ、口から時間をかけて息を吐ききる。これを数回繰り返すだけで、高ぶった交感神経を鎮め、副交感神経を優位にすることができます。これらの小さな習慣の積み重ねが、乱れた自律神経を整え、あなた自身の「治る力」を引き出してくれるのです。