医療・製薬・研究関連の最新ニュース発信

生活
  • 「もう子供じゃない」高校生の気持ちと病院選び

    生活

    高校生にもなると、心も体も大きく成長し、「自分はもう子供ではない」という自己意識が芽生えてきます。友人関係や部活動、勉強、そして恋愛。悩みの種類も複雑になり、親との距離感も変わってくる。そんな多感な時期に、体調を崩して連れて行かれるのが、アンパンマンのポスターが貼られ、絵本が並ぶ小児科の待合室だったら、どう感じるでしょうか。多くの高校生が、口には出さなくても、心の中で「恥ずかしい」「場違いだ」という気まずさを感じています。泣きじゃくる赤ちゃんの声を聞きながら、小さな椅子に窮屈そうに座っている自分。受付で「〇〇ちゃん」と呼ばれることへの抵抗感。周りの親たちの「あんなに大きい子がなぜ?」という視線。これらの経験は、デリケートな高校生の自尊心を、静かに傷つけているかもしれません。また、症状を説明する場面でも、変化が現れます。これまでは、親が医師に症状を説明し、子供は隣で聞いているだけ、という構図が当たり前でした。しかし、高校生にもなれば、自分の体のことを、自分の言葉で、直接医師に伝えたい、相談したい、という気持ちが生まれてきます。特に、月経の悩みや、性のこと、あるいはメンタルヘルスの問題など、親には話しにくいプライベートな内容については、なおさらです。そんな時、親が同席している小児科の診察室では、本音を話しにくいと感じるのも無理はありません。このように、高校生が小児科から足が遠のく背景には、単なる年齢の問題だけでなく、「一人の自立した個人として扱われたい」という、切実な心理的な欲求があるのです。もし、お子さんが小児科へ行くのを渋るようになったら、それは反抗期などではなく、成長の証と捉えるべきです。これを機に、親子で話し合い、「これからは内科にしてみる?」「どんな先生がいい?」と一緒に病院を探してみてはどうでしょうか。自分の健康に自分で責任を持つ、という意識を育む、絶好の機会です。お子さんの「もう子供じゃない」という気持ちに寄り添うことが、これからの長い人生における、健康的な医療との付き合い方を学ぶ、最初のステップとなるのです。

  • 膝の痛みの予防とセルフケア、今日からできること

    生活

    膝の痛みは、一度発症すると日常生活に大きな影響を及ぼしますが、日々のちょっとした心がけやセルフケアを実践することで、痛みの発生を予防したり、症状の悪化を防いだりすることが可能です。高価なサプリメントや特別な器具は必要ありません。今日からすぐに始められる、膝を守るための生活習慣をご紹介します。まず、最も重要で効果的なのが、「膝周りの筋力を維持・向上させる」ことです。特に、太ももの前側にある「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」は、膝関節を安定させ、衝撃を吸収する上で非常に重要な筋肉です。この筋肉を鍛える最も簡単な方法は、椅子に座った状態で、片方の脚を床と平行になるまでゆっくりと持ち上げ、その状態で五秒から十秒キープし、ゆっくりと下ろす、という運動です。テレビを見ながらでもできるこの運動を、左右それぞれ十回程度、一日数セット行うだけでも、膝の安定性は大きく向上します。次に、「体重のコントロール」です。体重が重いほど、膝への負担は大きくなります。バランスの取れた食事を心がけ、過食を避けることが、膝を守ることに直結します。ウォーキングなどの有酸素運動も効果的ですが、痛みが強い場合は、膝への負担が少ない水中ウォーキングや、エアロバイクなどから始めるのが良いでしょう。また、「体を冷やさない」ことも大切です。体が冷えると、血行が悪くなり、筋肉が硬くなって、痛みが感じやすくなります。夏場でも、冷房の効いた部屋では膝掛けを使ったり、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かって、全身を温める習慣をつけましょう。靴の選び方も重要です。クッション性が良く、足にフィットした靴を選ぶことで、地面からの衝撃を和らげ、膝への負担を軽減できます。ヒールの高い靴や、底の薄い靴は、できるだけ避けるのが賢明です。そして、痛みを感じた時の初期対応として、「RICE処置」の原則を覚えておくと役立ちます。Rest(安静)、Icing(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の頭文字を取ったもので、痛む部分を休ませ、冷やし、軽く圧迫し、心臓より高い位置に保つことで、炎症を最小限に抑えることができます。これらの地道なセルフケアの積み重ねが、あなたの膝を生涯にわたって守る、何よりの力となるのです。

  • わが子はまだ小児科?高校生の受診先に悩む保護者の方へ

    生活

    あんなに小さかった我が子が、いつの間にか自分よりも背が高くなり、高校生になった。成長は嬉しいけれど、ふと体調を崩した時、「この子、まだ小児科でいいのかしら?」と、ふと立ち止まってしまう。そんな悩みを抱える保護者の方は、決して少なくありません。長年、親身に診てくれた、かかりつけの小児科の先生への信頼は厚い。でも、いつまでも親が付き添って小児科、というのもどうなのだろう。そんな保護者の皆さまへ、上手な移行のための考え方のヒントをお伝えします。まず、大前提として、保護者の方が「不安だから」という理由だけで、本人の気持ちを無視して小児科に縛り付けるのは避けましょう。高校生は、自立への一歩を踏み出す大切な時期です。自分の健康管理も、その自立の一部です。お子さんが「もう内科へ行きたい」「小児科は恥ずかしい」と感じているのであれば、その気持ちを尊重し、新しいかかりつけの内科医を一緒に探すというスタンスが重要です。一方で、子供の頃からの慢性疾患(喘息やアレルギーなど)で、専門的な治療を小児科で継続している場合は、話が別です。この場合は、自己判断で内科に移るのではなく、必ず小児科の主治医と相談してください。医師は、成人医療を専門とする後任の医師へ、これまでの治療経過をまとめた「紹介状」を用意し、責任を持って引き継いでくれます。これを「移行期医療(トランション)」と呼び、近年非常に重要視されています。保護者の役割は、このスムーズな橋渡しをサポートすることです。では、特に持病もなく、急性疾患で受診する場合、何を基準にすれば良いのでしょうか。一つの考え方は、「高校卒業」を一つの区切りとすることです。高校在学中は、まだ保護者の管理下にあることが多いですが、卒業後は、進学や就職で親元を離れる可能性もあります。その時に、自分で病院を探し、一人で受診できるよう、高校生のうちから、内科での受診を経験させておく、というのも一つの良い準備となります。大切なのは、この問題を「いつ小児科をやめるか」という視点だけでなく、「子供が将来、自立して医療と付き合っていくために、親として何ができるか」という視点で捉えること。そうすれば、おのずと進むべき道が見えてくるはずです。

  • 私がふわふわめまいで病院を転々とした話

    生活

    三十代も半ばを過ぎた頃から、私の体には奇妙な不調が現れ始めました。それは、はっきりとした回転性のめまいではないのですが、常に体が左右にゆらゆらと揺れているような、あるいは、柔らかい地面の上を歩いているような、ふわふわとした感覚でした。特に、パソコン作業に集中した後や、人混みの中を歩いている時に、その症状はひどくなりました。最初に私が訪れたのは、会社の近くにある「耳鼻咽痕科」でした。めまいと言えば、まず耳だろうと思ったからです。様々な検査を受けましたが、医師から告げられたのは「耳の平衡機能には、特に異常は見当たりませんね」という言葉でした。次に私が向かったのは、少し大きな病院の「脳神経外科」です。もしかしたら、脳に何か問題があるのではないか、という不安があったからです。MRI検査を受け、緊張しながら結果を聞きましたが、これもまた「脳に異常はありません。心配ないですよ」とのこと。安心した反面、「では、この不快な症状の原因は一体何なのだろう」という、先の見えない不安は募るばかりでした。その後も、私は「整形外科」(首こりが原因かと思ったから)や、「循環器内科」(血圧の問題かと思ったから)など、いくつかの病院を転々としました。しかし、どこへ行っても結果は同じ。「異常なし」。まるで、ドクターショッピングをしているかのような状態に、私は心身ともに疲れ果てていました。そんな時、知人から「もしかしたら、自律神経の問題じゃない?」と、何気なく言われました。そして、勧められたのが「心療内科」でした。正直、精神的な問題だとは思いたくありませんでしたが、藁にもすがる思いで受診することにしました。心療内科の医師は、私のこれまでの経緯や、仕事のストレス、生活習慣について、一時間以上もかけてじっくりと話を聞いてくれました。そして、「あなたの症状は、典型的な自律神経失調症によるものです。体は正直ですから、ストレスが限界に達すると、めまいという形でサインを送ってくるんですよ」と、優しく説明してくれたのです。その瞬間、私は、長年の謎が解けたような気がして、思わず涙がこぼれました。病名がつき、原因がわかったこと。それが、何よりの薬でした。そこから、生活習慣の改善と、漢方薬による治療を始め、私のふわふわめまいは、少しずつ、しかし確実に改善へと向かっていったのです。

  • 上の子からうつる?妊婦と子供のプールでの注意点

    生活

    妊娠中に、上の小さなお子さんと一緒に市民プールやレジャープールへ行く。これは、夏の楽しい家族の思い出となる一方で、妊婦さんにとっては、感染症のリスクと隣り合わせの状況でもあります。特に、保育園や幼稚園といった集団生活を送っている子供は、様々な感染症の「運び屋」となりやすく、そこから妊婦さんへとうつってしまうケースは少なくありません。上の子と一緒のプールで、妊婦さんが特に注意すべき感染症は、いわゆる「三大夏風邪」と呼ばれる「手足口病」「ヘルパンギーナ」「咽頭結膜熱(プール熱)」です。これらの病気は、子供がかかると比較的軽症で済むことが多いですが、免疫のない大人がかかると、高熱や激しい痛みで重症化し、妊娠中の体に大きな負担をかけることになります。これらのウイルスは、感染した子供の咳やくしゃみなどの飛沫、あるいは便の中に排出されます。プールサイドで子供が咳をしたり、水中でお尻を洗ったり、トイレの後に手洗いが不十分だったりすると、ウイルスが環境中に広がり、それを妊婦さんが知らず知らずのうちに口や鼻から取り込んでしまうのです。感染を防ぐためには、まず、お子さんの体調をよく観察することが第一です。少しでも熱があったり、機嫌が悪かったり、発疹が出ているような場合は、プールに行くのを見合わせる勇気も必要です。プールでは、お子さんから目を離さず、他の子供との過度な接触や、おもちゃの貸し借りにも注意しましょう。そして、最も重要なのが、プールから上がった後のケアです。まず、親子共にシャワーで全身をしっかりと洗い流します。目も軽く洗浄しましょう。トイレの後や、何かを食べる前には、必ず石鹸で丁寧に手洗いをする(させる)ことを徹底してください。また、水分補給の際には、ペットボトルや水筒の回し飲みは避けましょう。さらに、妊婦さん自身の免疫力を落とさないことも大切です。人混みでの長時間の滞在は避け、疲れを感じたら、日陰で十分に休息をとるようにしましょう。家族の楽しい時間を守るためにも、感染症に対する正しい知識と、少しの慎重さを持つことが、何よりの予防策となります。

  • その症状、起立性調節障害かも?家庭でできるチェックリスト

    生活

    「うちの子、ただの怠け癖なんじゃないだろうか…」。朝、起きられないお子さんを前に、多くの親御さんがそう自問し、自分を責めてしまうことがあります。しかし、それは病気のサインかもしれません。起立性調節障害(OD)は、本人の気力ではどうにもならない、体の病気です。病院へ行くべきか迷った時に、家庭でできる簡単なチェックリストをご紹介します。以下の十一項目のうち、三つ以上当てはまる、あるいは二つでも症状が強く、日常生活に支障が出ている場合は、ODの可能性を考えて、専門医に相談することをお勧めします。立ちくらみ、あるいは、めまいを起こしやすい。立っていると気分が悪くなる、ひどいと失神する。入浴時や、嫌なことを見聞きした時に気分が悪くなる。動悸や息切れがしやすい。朝、なかなか起きられず、午前中は調子が悪い。顔色が青白い。食欲不振がある。お腹が痛くなることがよくある(腹痛)。乗り物酔いをしやすい。疲れやすい、倦怠感が強い。頭痛がする。特に、重要なのが「午前中に症状が強く、午後になると回復してくる」という、症状の日内変動です。ODの子供たちは、午後になると驚くほど元気になり、ゲームや友人との会話を楽しむことができます。この姿を見て、親は「なんだ、元気じゃないか。やっぱり怠けていただけだ」と誤解してしまいがちですが、これこそがODの典型的な特徴なのです。自律神経の働きには一日の中でリズムがあり、ODの子供たちは、午前中に交感神経のスイッチがうまく入らないため、血圧が上がらず、脳への血流が不足して、様々な不調が集中して現れるのです。このチェックリストは、あくまで家庭でできる目安です。正確な診断のためには、医療機関での検査が不可欠です。もし、お子さんのつらそうな様子に思い当たる節があれば、このリストを手に、勇気を出して小児科の扉を叩いてみてください。それは、お子さんを誤解から救い、正しい理解とサポートへの第一歩となります。

  • ふわふわめまいを改善する、今日からできるセルフケア

    生活

    原因不明のふわふわとしためまい。病院で「異常なし」と言われても、不快な症状が続くと、日常生活も憂鬱になってしまいます。薬による治療と並行して、日々の生活習慣を見直すセルフケアを取り入れることで、つらい症状を和らげ、めまいが起きにくい体質へと改善していくことが期待できます。専門家が推奨する、今日から始められるセルフケアのポイントをご紹介します。まず、最も重要なのが「生活リズムを整える」ことです。自律神経のバランスを整えるためには、規則正しい生活が基本となります。毎日、できるだけ同じ時間に起き、同じ時間に寝ることを心がけましょう。特に、朝の光を浴びることは、体内時計をリセットし、自律神経のスイッチを正常に切り替える上で非常に効果的です。睡眠不足は、めまいの大きな引き金になります。質の良い睡眠を確保するために、寝る前のスマートフォン操作は控え、リラックスできる環境を整えましょう。次に、「バランスの取れた食事」です。欠食をせず、一日三食をきちんと摂ることが、血糖値の安定に繋がり、めまいの予防になります。特に、ビタミンB群(豚肉、レバー、大豆製品など)は神経の働きを助け、鉄分(赤身の肉、ほうれん草など)は貧血によるめまいを防ぎます。また、血行を良くするために、体を温める生姜やネギなどを食事に取り入れるのも良いでしょう。そして、適度な「運動習慣」も欠かせません。激しい運動は必要ありません。ウォーキングやヨガ、ストレッチといった、リズミカルで、ゆったりとした有酸素運動が効果的です。特に、首や肩周りの筋肉をほぐすストレッチは、脳への血流を改善し、めまいや頭痛の緩和に繋がります。運動は、血行促進だけでなく、ストレス解消にも役立ち、心身両面から自律神経を整えてくれます。また、めまいが起きやすい人は、人混みや、下を向いて長時間同じ姿勢でいること(スマホ操作など)を避けるといった、自分の症状の「トリガー」を知り、それを避ける工夫も大切です。これらの地道なセルフケアは、すぐに劇的な効果が現れるものではありません。しかし、焦らず、根気よく続けることが、薬だけに頼らない、根本的な体質改善への一番の近道となるのです。

  • 喉の酷使と乾燥、赤みを招く生活習慣

    生活

    熱もないし、特に病気というわけでもなさそうなのに、気づくといつも喉が赤い。そんな方は、ご自身の日常生活の中に、喉に負担をかける習慣が隠れているのかもしれません。喉の粘膜は非常にデリケートなため、日々の些細な習慣の積み重ねが、慢性的な炎症と赤みを引き起こすことがあります。まず、代表的なのが「喉の酷使」です。教師やコールセンターのオペレーターなど、仕事で長時間話し続ける人はもちろん、カラオケが趣味の人、あるいは普段から声が大きい人も、知らず知らずのうちに声帯や喉の粘膜に大きな負担をかけています。過度な振動や摩擦によって、粘膜が炎症を起こし、常に赤い状態になってしまうのです。意識的に声のトーンを抑えたり、こまめに休憩をとって喉を休ませたり、会話の合間に水分補給をしたりといった工夫が必要です。次に、現代人にとって大きな問題となっているのが「乾燥」です。冬場の乾いた空気はもちろん、夏場でもエアコンが効いた室内は、湿度が非常に低くなっています。乾燥した環境に長時間いると、喉の粘膜から水分が奪われ、粘膜を覆ってウイルスなどの侵入を防いでいる粘液のバリア機能が低下します。これにより、喉は無防備な状態となり、わずかな刺激でも炎症を起こしやすくなってしまうのです。加湿器を使用したり、濡れタオルを干したりして、室内の湿度を五十~六十パーセントに保つことが理想です。マスクの着用も、自分の呼気に含まれる湿気で喉を潤す効果があり、非常に有効です。また、「食生活」も大きく影響します。唐辛子などの香辛料を多く使った刺激の強い食べ物や、熱すぎる飲み物は、喉の粘膜を直接傷つけ、炎症の原因となります。アルコール、特に度数の高いお酒は、粘膜を脱水させ、さらに炎症を悪化させます。喫煙は、言うまでもなく最悪です。タバコの煙に含まれる数千もの有害物質が、喉の粘膜を慢性的に刺激し続け、赤みだけでなく、がんのリスクさえも高めます。もし、あなたの喉が常に赤いのであれば、それは体が発する生活習慣への警告サインかもしれません。大声を控える、喉を潤す、刺激物を避ける、禁煙する。これらの地道な改善が、健やかな喉を取り戻すための第一歩となります。