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  • 咳が止まらない時にまず行くべき診療科は?

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    コンコンと乾いた咳が続いている。あるいは、ゴホゴホと痰の絡んだ咳がなかなか治まらない。風邪は治ったはずなのに、咳だけがしつこく残っている。そんな「止まらない咳」に悩まされた時、多くの人が「一体、何科の病院へ行けば良いのだろう?」と迷ってしまいます。咳は非常にありふれた症状なだけに、その原因は多岐にわたります。しかし、まずはどの科を受診すべきか、その基本的な考え方を知っておくことが、的確な診断と治療への第一歩となります。結論から言うと、咳が止まらない場合に、まず最初に受診を検討すべきは「呼吸器内科」です。呼吸器内科は、その名の通り、気管、気管支、肺といった呼吸に関わる器官(呼吸器)の病気を専門に扱うエキスパートです。長引く咳の多くは、これらの呼吸器に何らかの異常が起きていることが原因です。例えば、風邪のウイルスによって気道が過敏になってしまう「感染後咳嗽」や、アレルギー反応が気道に炎症を引き起こす「咳喘息」、あるいは「気管支喘息」そのもの、さらには「肺炎」や「気管支炎」など、咳を主症状とする呼吸器疾患は数多く存在します。呼吸器内科では、問診や聴診に加え、レントゲンやCT、呼吸機能検査(スパイロメトリー)といった専門的な検査を行うことで、咳の本当の原因を突き止めることができます。もちろん、熱や喉の痛みといった他の症状も伴う場合は、かかりつけの内科を受診するのも良い選択です。また、鼻水や後鼻漏(鼻水が喉に落ちる感覚)が咳の原因となっている場合は、耳鼻咽喉科が専門となります。しかし、原因がはっきりせず、特に「咳」そのものが主たる悩みであるならば、まずは呼吸器の専門家である呼吸器内科の扉を叩いてみることが、遠回りのようでいて、実は根本的な解決への最も確実な近道となるのです。

  • いちご舌と口内炎、辛い口の中のトラブル対策

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    いちご舌と共に、口の中にたくさんの口内炎ができてしまうと、その痛みは想像を絶するものがあります。特に、小さなお子さんの場合は、痛みのために食事や水分を摂ることを完全に拒否してしまい、脱水症状に陥る危険性もあります。このつらい時期を乗り切るためには、どのような工夫ができるでしょうか。まず、最も重要なのが「食事内容」です。口の中の痛みを刺激しないよう、とにかく「優しさ」を最優先に考えましょう。熱いもの、辛いもの、酸っぱいもの(オレンジジュースやトマトなど)、そして硬くて口の中に傷をつけそうなもの(おせんべいや硬いパンなど)は、症状が落ち着くまで完全に避けてください。お勧めなのは、冷たくて、喉越しの良い、滑らかなものです。例えば、ゼリー、プリン、ヨーグルト、アイスクリーム、冷たいコーンスープ、豆腐、茶碗蒸しなどが良いでしょう。栄養バランスも気になるところですが、この時期はまず、何でも良いので口から水分とカロリーを摂取できることを最優先に考えます。水分補給には、麦茶や牛乳、あるいはイオン飲料(経口補水液)などが適しています。ストローを使うと、口内炎に直接触れずに飲めることがあるので、試してみる価値があります。次に、「口腔ケア」です。痛くて歯磨きを嫌がるかもしれませんが、口の中が不潔になると、細菌が繁殖してさらに口内炎が悪化したり、二次感染を起こしたりする可能性があります。食後は、水やお茶で優しく口をゆすぐだけでも効果があります。歯磨きをする場合は、柔らかい歯ブラシを使い、歯磨き粉は刺激の少ないものを選ぶか、お湯だけで磨くようにしましょう。また、医療機関では、口内炎の痛みを和らげるための薬が処方されることもあります。痛みを麻痺させる成分が入った液体や、口の中に直接塗る軟膏などです。これらを食事の前に使用することで、一時的に痛みが緩和され、食事が摂りやすくなることがあります。ただし、使用方法は必ず医師の指示に従ってください。このつらい時期は、永遠には続きません。焦らず、お子さんのペースに合わせて、少しでも快適に過ごせるような工夫を重ねてあげることが大切です。

  • カンジダ膣炎とプール、妊婦が知っておくべき関係

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    妊娠中は、ホルモンバランスの変化や免疫力の変動により、多くの女性が「カンジダ膣炎」にかかりやすくなります。おりものの増加やかゆみといった不快な症状に悩まされている時に、「プールに入っても大丈夫だろうか」「症状が悪化したり、他の人にうつしたりしないだろうか」と心配になるのは当然のことです。カンジダ膣炎は、カンジダという真菌(カビの一種)が、膣内で異常増殖することで起こる病気です。このカンジダ菌は、もともと多くの人の皮膚や粘膜に存在する常在菌であり、プールに入ったからといって、新たに感染することはほとんどありません。また、プールの水に含まれる塩素によって、カンジダ菌が他の人に感染する可能性も極めて低いと考えられています。つまり、「プールに入ることでカンジダ膣炎になる」あるいは「他の人にカンジダをうつす」という心配は、基本的には不要です。しかし、問題となるのは、すでにカンジダ膣炎を発症している、あるいはその症状がある場合に、プールに入ることの影響です。まず、プールの水に含まれる「塩素」が、デリケートになっている外陰部や膣の粘膜を刺激し、かゆみやヒリヒリ感といった症状を悪化させてしまう可能性があります。また、濡れた水着を長時間着用していると、デリケートゾーンが高温多湿の状態になります。これは、カンジダ菌がさらに増殖するのに最適な環境であり、症状を長引かせる原因となり得ます。したがって、もし、かゆみやおりものの異常といったカンジダ膣炎を疑う症状がある場合は、まず「産婦人科」を受診し、適切な治療を受けることを優先すべきです。治療によって症状が完全に治まってから、医師の許可を得てプールに入るのが最も安全な手順です。もし、軽い症状でプールに入る場合でも、プールから上がったらすぐにシャワーでよく洗い流し、濡れた水着は速やかに着替えて、デリケートゾーンを清潔で乾燥した状態に保つことを徹底しましょう。自分の体の状態を正しく把握し、無理をしないことが、楽しいマタニティライフを送るための秘訣です。

  • マタニティスイミング、始める前に確認すべきこと

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    妊娠中の運動不足解消や、体重管理、リフレッシュのために、「マタニティスイミング」を始めたいと考えている妊婦さんは多いでしょう。水中では浮力によって体への負担が軽減され、全身運動ができるため、マタニティスイミングは妊婦にとって非常にメリットの多い運動です。しかし、誰でも、いつでも始められるわけではありません。安全に楽しむためには、始める前に必ず確認しておくべきいくつかの重要なポイントがあります。まず、最も重要なのが、「かかりつけの産婦人科医の許可を得る」ことです。これは、絶対的な必須条件です。妊娠の経過は一人ひとり全く異なります。切迫早産や前期破水のリスク、妊娠高血圧症候群、前置胎盤、あるいは何らかの感染症など、運動が禁忌となる状態である可能性もあります。自己判断で始めるのは絶対にやめましょう。通常、安定期に入り、妊娠経過が順調であれば許可が出ることが多いですが、必ず医師によるメディカルチェックを受け、「マタニティスイミング参加許可証」のような書類にサインをもらってから、スイミングスクールに提出する必要があります。次に、参加する「施設選び」です。必ず「マタニティスイミング」の専門コースが設置されており、専門の知識を持ったインストラクターが指導してくれる施設を選びましょう。一般のプール利用とは異なり、妊婦の体に配慮したプログラムが組まれており、緊急時の対応マニュアルなども整備されているため、安心して参加できます。施設の衛生管理が徹底されているかどうかも、感染症予防の観点から重要なチェックポイントです。そして、始める「タイミング」です。一般的には、つわりが落ち着き、胎盤が完成して流産のリスクが低くなる「安定期(妊娠十六週以降)」から始めるのが良いとされています。妊娠後期になると、お腹が大きくなって動きにくくなったり、早産のリスクが高まったりするため、遅くとも三十二週頃までには始めるのが良いでしょう。体調が良い日を選んで参加し、少しでもお腹の張りや疲れを感じたら、無理せずすぐに中断し、休む勇気を持つことも大切です。これらのルールを守ることが、お腹の赤ちゃんと自分自身の安全を守り、マタニティスイミングの効果を最大限に引き出すことに繋がるのです。

  • ぐるぐる回るめまいと、ふわふわするめまいの違い

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    めまいと一言で言っても、その感じ方には大きく分けて二つのタイプがあり、それぞれ原因となる病気や受診すべき診療科が異なります。ご自身のめまいがどちらのタイプなのかを正しく認識することが、適切な医療に繋がるための重要な第一歩です。まず、一つ目のタイプが「回転性めまい」です。これは、自分自身か、あるいは天井や壁といった周囲の景色が、ぐるぐると高速で回転しているように感じる、非常に激しいめまいです。多くの場合、吐き気や嘔吐、冷や汗などを伴い、立っていることさえ困難になります。この回転性めまいの原因のほとんどは、体の平衡感覚を司る「内耳(三半規管や耳石器)」の異常にあります。代表的な病気には、寝返りや起き上がりなど、頭の位置を変えた時に数秒から数十秒の激しいめまいが起きる「良性発作性頭位めまい症(BPPV)」や、難聴や耳鳴りを伴って数時間続くめまい発作を繰り返す「メニエール病」、風邪の後などに突然発症し、数日間にわたって激しいめまいが続く「前庭神経炎」などがあります。これらの病気は、いずれも「耳鼻咽喉科」が専門の診療科となります。一方、二つ目のタイプが「浮動性(ふどうせい)めまい」、すなわち「ふわふわするめまい」です。これは、体が雲の上を歩いているようにふわふわしたり、船に揺られているようにふらふらしたり、地に足がついていないような不安定感として感じられます。回転性めまいのような激しさはありませんが、常にすっきりしない状態が長く続くため、日常生活に大きな影響を及ぼします。このふわふわするめまいの原因は非常に多岐にわたります。上記の耳の病気の回復期に見られることもありますが、それ以外に、脳梗塞や脳腫瘍といった「脳の病気」、高血圧や不整脈などの「循環器系の病気」、ストレスや過労による「自律神経の乱れ」、あるいは薬の副作用など、様々な可能性が考えられます。そのため、原因の特定が難しく、耳鼻咽喉科、脳神経外科、循環器内科、心療内科など、複数の診療科の診察が必要になることも少なくありません。まずは、ご自身のめまいのタイプを医師に正確に伝えることが、診断の重要な手がかりとなるのです。

  • 温泉や銭湯はOK?プールとの衛生基準の違い

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    妊娠中のリフレッシュとして、温泉や銭湯にゆっくり浸かりたい、と考える方も多いでしょう。では、プールと温泉・銭湯では、感染症のリスクに違いはあるのでしょうか。衛生管理の観点から、その違いを理解しておきましょう。まず、日本の公衆浴場(温泉、銭湯)やプールは、それぞれ「公衆浴場法」および「学校保健安全法」などに基づいて、水質や衛生管理に関する厳しい基準が定められています。どちらの施設も、衛生的な環境が保たれるよう、水中の塩素濃度や、大腸菌群などの細菌検査が定期的に行われています。したがって、適切に管理されている施設であれば、水そのものから重篤な感染症にかかるリスクは、プールでも温泉でも、極めて低いと言えます。しかし、両者にはいくつかの違いがあります。まず、「塩素濃度」です。プールは、不特定多数の人が利用し、水中で運動することから、感染症予防のために、比較的高い濃度の塩素で消毒されています(遊離残留塩素濃度0.4mg/L以上)。一方、温泉は、その泉質(効能)を保つため、循環式の場合でも塩素消毒の基準はプールより緩やかであったり、源泉かけ流しの場合には塩素消毒が行われなかったりすることもあります。このため、一部の細菌に対する殺菌力は、プールの方が高いと言えるかもしれません。次に注意すべきなのが「レジオネラ菌」のリスクです。レジオネラ菌は、循環式の浴槽や、ジャグジー、打たせ湯などの、エアロゾル(水の霧)が発生しやすい環境で繁殖しやすく、それを吸い込むことで「レジオネラ肺炎」という重篤な肺炎を引き起こすことがあります。妊婦は免疫力が変化しているため、一般の人よりも注意が必要です。衛生管理が徹底されている施設を選ぶことが大前提となります。一方で、プールで注意が必要なアデノウイルスなどによる「プール熱」は、温泉や銭湯ではあまり問題になりません。結論として、プールも温泉・銭湯も、衛生管理された施設を適切に利用する限り、大きなリスクはありません。しかし、カンジダ膣炎の悪化を招きやすい塩素刺激や、レジオネラ菌のリスクなど、それぞれに特有の注意点が存在します。どちらを利用する場合でも、長時間の利用は避け、体調が良い時に限定し、必ず事前にかかりつけ医の許可を得ること。これが、妊娠中の入浴・遊泳における、最も重要な共通ルールです。

  • プールでうつる可能性のある感染症、妊婦が注意すべきは?

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    マタニティスイミングや夏のレジャーでプールを利用する際、妊娠中の女性が特に注意しておきたい感染症がいくつかあります。その多くは、赤ちゃんに直接影響を及ぼすものではありませんが、母体の体調を崩し、結果として妊娠生活に影響を与えかねないため、正しい知識を持っておくことが大切です。まず、代表的なのが「咽頭結膜熱(プール熱)」です。これは、アデノウイルスによって引き起こされる感染症で、三十九度前後の高熱、喉の強い痛み(咽頭炎)、そして目の充血(結膜炎)を三つの主症状とします。感染者の咳やくしゃみなどの飛沫や、ウイルスが付着したタオルなどを介して感染します。プールの水自体が直接の原因となることは稀ですが、集団生活の場で流行しやすいのが特徴です。妊娠中に高熱や強い喉の痛みに見舞われるのは非常につらく、体力を消耗するため、注意が必要です。次に、「流行性角結膜炎(はやり目)」も、同じくアデノウイルスが原因です。こちらは、目の充血や目やにといった結膜炎の症状が非常に強く現れます。感染力が極めて強く、ウイルスが付着した手で目をこすることで簡単に感染します。プールサイドやロッカーなど、不特定多数が触れる場所に注意が必要です。また、夏風邪の代表格である「手足口病」や「ヘルパンギーナ」も、プールで感染が広がりやすい病気です。これらは、エンテロウイルスやコクサッキーウイルスが原因で、感染者の便や飛沫を介して感染します。大人がかかると高熱や激しい喉の痛み、手足の痛みなどを伴い、重症化することがあるため、特に上の子がいる妊婦さんは、子供が集まるレジャープールなどでは注意が必要です。皮膚の感染症としては、「水いぼ(伝染性軟属腫)」や、ウイルス性の「イボ(尋常性疣贅)」、そして「水虫(足白癬)」などが挙げられます。これらは、湿った床やビート板、タオルなどを介して感染する可能性があります。これらの感染症を防ぐための基本は、やはり「手洗い」と「接触後のケア」です。プールから上がったら、必ずシャワーで全身をよく洗い流し、目を洗浄しましょう。そして、タオルや水着などの共用は絶対に避けること。これらの基本的な対策が、母体を様々な感染症から守ることに繋がるのです。

  • 膝の痛みでやってはいけないこと、悪化させるNG行動

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    膝に痛みを感じている時、良かれと思ってやっているその行動が、実は症状をさらに悪化させる原因になっているかもしれません。痛みを長引かせず、スムーズな回復を目指すためには、膝に負担をかけるNG行動を避けることが非常に重要です。まず、最もやってはいけないのが「痛みを我慢して、これまで通りに運動や仕事を続ける」ことです。痛みは、体からの「それ以上、負担をかけないで」という危険信号です。このサインを無視して無理を続けると、膝関節の炎症がひどくなり、軟骨のすり減りを加速させてしまいます。特に、ジャンプや急な方向転換を伴うスポーツ、重い荷物を持つ作業などは、痛みが治まるまで完全に中止すべきです。次に、意外と知られていないのが「急に激しい筋力トレーニングを始める」ことの危険性です。膝の痛みの原因の一つに筋力低下があるため、「膝を鍛えなければ」と焦って、自己流でスクワットなどを始める人がいますが、これは逆効果になることがあります。正しいフォームで行わないと、かえって膝関節に過剰な負担をかけてしまい、痛みを悪化させるだけです。筋力トレーニングは、必ず医師や理学療法士の指導のもと、膝に負担の少ない運動から、段階的に始めるようにしましょう。また、「正座やあぐら、横座り」といった、膝を深く曲げたり、ねじったりする床での生活習慣も、膝にとっては大きな負担となります。できるだけ椅子やベッドを使った洋式の生活に切り替えることをお勧めします。肥満も、膝への負担を増大させる大きな要因です。膝の痛みは、体重が1キロ増えるだけで、歩行時にはその三倍、つまり3キロ分の負荷が増すと言われています。痛みがあるからといって動かずにいると、体重が増え、さらに膝が痛くなるという悪循環に陥ってしまいます。食事内容を見直し、適切な体重管理を心がけることも、重要な治療の一環です。そして、何よりも最大のNG行動は、「原因がわからないまま、自己判断で放置する」ことです。膝の痛みの裏には、様々な病気が隠れている可能性があります。痛みが続く場合は、必ず整形外科を受診し、専門家による正しい診断と指導を受けるようにしてください。