医療・製薬・研究関連の最新ニュース発信

2025年9月
  • 目のかゆみと充血は眼科が専門です

    医療

    花粉が飛散する季節になると、目を取り出して丸洗いしたくなるほどの、耐え難いかゆみと充血に悩まされる。コンタクトレンズはゴロゴロして入れていられない。そんな、目の症状が特に辛い花粉症の場合、頼るべきは眼の専門家、眼科医です。花粉によって引き起こされる目のアレルギー症状は、「アレルギー性結膜炎」と呼ばれ、眼科がその診断と治療の専門となります。多くの人が、市販の目薬で何とかしのいでいるかもしれませんが、眼科を受診することには、それを上回る大きなメリットがあります。まず、正確な診断が受けられることです。目のかゆみや充血の原因は、アレルギーだけとは限りません。細菌やウイルスによる結膜炎や、ドライアイ、あるいは他の眼の病気が隠れている可能性もあります。自己判断で市販の目薬を使い続けることで、かえって症状を悪化させたり、本来必要な治療の開始が遅れたりするリスクがあるのです。眼科では、細隙灯顕微鏡という専門的な器具で目の表面を詳細に観察し、アレルギーによるものなのか、他の原因はないのかを的確に診断してくれます。そして、診断に基づいて、あなたの症状に最も合った、効果的な点眼薬を処方してもらえるのが最大の利点です。処方される点眼薬には、かゆみの原因となるヒスタミンの働きをブロックする「抗ヒスタミン薬」、アレルギー反応そのものを抑える「抗アレルギー薬(メディエーター遊離抑制薬)」、そして炎症が非常に強い場合には「ステロイド点眼薬」など、様々な種類があります。市販薬に比べて成分の濃度が高く、効果が期待できるだけでなく、防腐剤の入っていない、目に優しいタイプの薬を処方してもらうことも可能です。特に、コンタクトレンズを使用している人は、レンズとの相性や、点眼のタイミングなど、専門的な指導を受けることが目の健康を守る上で不可欠です。目のかゆみを我慢して擦ってしまうと、結膜や角膜を傷つける原因にもなります。辛い目の症状は、眼科医に相談し、適切な治療で快適な春を迎えましょう。

  • 咳が止まらない時にまず行くべき診療科は?

    知識

    コンコンと乾いた咳が続いている。あるいは、ゴホゴホと痰の絡んだ咳がなかなか治まらない。風邪は治ったはずなのに、咳だけがしつこく残っている。そんな「止まらない咳」に悩まされた時、多くの人が「一体、何科の病院へ行けば良いのだろう?」と迷ってしまいます。咳は非常にありふれた症状なだけに、その原因は多岐にわたります。しかし、まずはどの科を受診すべきか、その基本的な考え方を知っておくことが、的確な診断と治療への第一歩となります。結論から言うと、咳が止まらない場合に、まず最初に受診を検討すべきは「呼吸器内科」です。呼吸器内科は、その名の通り、気管、気管支、肺といった呼吸に関わる器官(呼吸器)の病気を専門に扱うエキスパートです。長引く咳の多くは、これらの呼吸器に何らかの異常が起きていることが原因です。例えば、風邪のウイルスによって気道が過敏になってしまう「感染後咳嗽」や、アレルギー反応が気道に炎症を引き起こす「咳喘息」、あるいは「気管支喘息」そのもの、さらには「肺炎」や「気管支炎」など、咳を主症状とする呼吸器疾患は数多く存在します。呼吸器内科では、問診や聴診に加え、レントゲンやCT、呼吸機能検査(スパイロメトリー)といった専門的な検査を行うことで、咳の本当の原因を突き止めることができます。もちろん、熱や喉の痛みといった他の症状も伴う場合は、かかりつけの内科を受診するのも良い選択です。また、鼻水や後鼻漏(鼻水が喉に落ちる感覚)が咳の原因となっている場合は、耳鼻咽喉科が専門となります。しかし、原因がはっきりせず、特に「咳」そのものが主たる悩みであるならば、まずは呼吸器の専門家である呼吸器内科の扉を叩いてみることが、遠回りのようでいて、実は根本的な解決への最も確実な近道となるのです。