自律神経失調症の治療において、医療機関での専門的な治療は非常に重要ですが、それと同時に、日々の生活の中で自分自身でできる「セルフケア」を実践することが、症状の改善と再発予防に大きな効果をもたらします。薬だけに頼るのではなく、自分の生活習慣を見直し、自律神経が喜ぶことを毎日の暮らしに取り入れてみましょう。まず、基本中の基本となるのが「生活リズムの見直し」です。私たちの体には、約二十四時間周期の体内時計が備わっており、自律神経もこのリズムに沿って働いています。このリズムを整える最も効果的な方法が、「朝日を浴びること」です。朝、起きたらカーテンを開け、太陽の光を数分間浴びましょう。これにより、体内時計がリセットされ、活動モードの交感神経へのスイッチがスムーズに入ります。また、夜は、就寝一時間前からスマートフォンの光を避け、部屋の照明を少し暗くして、リラックスモードの副交感神経が優位になるように導いてあげましょう。毎日、同じ時間に寝て、同じ時間に起きることを心がけるだけでも、自律神経は安定しやすくなります。次に、「食事」です。一日三食、バランス良く食べることが基本です。特に、幸せホルモンとも呼ばれる「セロトニン」の材料となる「トリプトファン」を多く含む、大豆製品(豆腐、納豆、味噌)、乳製品(チーズ、ヨーグルト)、バナナなどを意識して摂ると良いでしょう。また、腸内環境と自律神経は密接に関係しているため(腸脳相関)、発酵食品や食物繊維を多く摂る「腸活」も効果的です。そして、「適度な運動」も欠かせません。ウォーキングやジョギング、ヨガといった、一定のリズムを繰り返す有酸素運動は、セロトニンの分泌を促し、自律神経のバランスを整えるのに最適です。激しい運動は必要ありません。「少し汗ばむ程度」の心地よい運動を、週に数回、継続することが大切です。最後に、いつでもどこでもできる簡単なセルフケアが「深呼吸(腹式呼吸)」です。ゆっくりと鼻から息を吸ってお腹を膨らませ、口から時間をかけて息を吐ききる。これを数回繰り返すだけで、高ぶった交感神経を鎮め、副交感神経を優位にすることができます。これらの小さな習慣の積み重ねが、乱れた自律神経を整え、あなた自身の「治る力」を引き出してくれるのです。