高校生にもなると、心も体も大きく成長し、「自分はもう子供ではない」という自己意識が芽生えてきます。友人関係や部活動、勉強、そして恋愛。悩みの種類も複雑になり、親との距離感も変わってくる。そんな多感な時期に、体調を崩して連れて行かれるのが、アンパンマンのポスターが貼られ、絵本が並ぶ小児科の待合室だったら、どう感じるでしょうか。多くの高校生が、口には出さなくても、心の中で「恥ずかしい」「場違いだ」という気まずさを感じています。泣きじゃくる赤ちゃんの声を聞きながら、小さな椅子に窮屈そうに座っている自分。受付で「〇〇ちゃん」と呼ばれることへの抵抗感。周りの親たちの「あんなに大きい子がなぜ?」という視線。これらの経験は、デリケートな高校生の自尊心を、静かに傷つけているかもしれません。また、症状を説明する場面でも、変化が現れます。これまでは、親が医師に症状を説明し、子供は隣で聞いているだけ、という構図が当たり前でした。しかし、高校生にもなれば、自分の体のことを、自分の言葉で、直接医師に伝えたい、相談したい、という気持ちが生まれてきます。特に、月経の悩みや、性のこと、あるいはメンタルヘルスの問題など、親には話しにくいプライベートな内容については、なおさらです。そんな時、親が同席している小児科の診察室では、本音を話しにくいと感じるのも無理はありません。このように、高校生が小児科から足が遠のく背景には、単なる年齢の問題だけでなく、「一人の自立した個人として扱われたい」という、切実な心理的な欲求があるのです。もし、お子さんが小児科へ行くのを渋るようになったら、それは反抗期などではなく、成長の証と捉えるべきです。これを機に、親子で話し合い、「これからは内科にしてみる?」「どんな先生がいい?」と一緒に病院を探してみてはどうでしょうか。自分の健康に自分で責任を持つ、という意識を育む、絶好の機会です。お子さんの「もう子供じゃない」という気持ちに寄り添うことが、これからの長い人生における、健康的な医療との付き合い方を学ぶ、最初のステップとなるのです。