喉が赤く、ヒリヒリ、チクチクと痛む。でも、熱を測ってみても平熱。このような「熱はないのに痛い」という状態は、体が本格的な不調に陥る一歩手前の、重要な警告サインかもしれません。多くは心配のない一過性のものですが、その原因を理解し、適切に対処することが、悪化を防ぐ鍵となります。発熱を伴わない喉の痛みの最も一般的な原因は、ごく軽い「ウイルス感染」です。風邪のウイルスが喉の粘膜に付着し、炎症を起こし始めたばかりの段階です。この時点では、体の免疫システムがまだ本格的な戦闘モード(発熱など)に入っておらず、局所的な防御反応として痛みや赤みが現れています。この初期段階で、うがいを徹底したり、十分な睡眠をとったりすることで、ウイルスを撃退し、本格的な風邪への移行を防げる可能性があります。また、「乾燥」も大きな原因の一つです。冬場の乾燥した空気や、夏の冷房が効いた室内では、喉の粘膜が乾き、潤いを失ってしまいます。粘膜のバリア機能が低下すると、些細な刺激にも過敏になり、痛みを感じやすくなります。マスクを着用して喉の湿度を保ったり、こまめに水分補給をしたりすることが有効です。喉の「使いすぎ」による炎症も考えられます。カラオケやスポーツ観戦で大声を出した後や、長時間話し続けた後などに、声帯だけでなく喉全体の粘膜が炎症を起こし、痛みとして感じられます。この場合は、とにかく声を出さずに喉を休ませることが一番の薬です。しかし、注意が必要なケースもあります。もし、喉の痛みが数日経っても改善しない、あるいは徐々に悪化していく場合は、単なる初期の風邪ではないかもしれません。例えば、細菌感染による「扁桃炎」は、初期には熱が出ないこともありますが、放置すると高熱が出たり、扁桃の周りに膿がたまる重篤な状態に移行したりすることがあります。また、逆流性食道炎による慢性的な刺激や、稀ではありますが咽頭がんなどの初期症状として、痛みが続くこともあります。熱がないからと安易に考えず、痛みが続く、あるいは強くなる場合は、必ず耳鼻咽喉科などの専門医の診察を受けてください。