熱はないけれど、喉の赤みやイガイガ感がなかなか治まらない。そんな時、病院へ行くほどではないかもしれない、と様子を見ている方も多いでしょう。確かに、多くの場合は生活習慣の見直しやセルフケアで改善が期待できます。しかし、その見極めと、正しいケアの方法を知っておくことが大切です。まず、今日からすぐに始められるセルフケアの基本は、「加湿」「保温」「栄養」の三本柱です。喉の粘膜にとって、乾燥は大敵です。加湿器を使ったり、マスクを着用したりして、喉の潤いを保ちましょう。特に就寝中は口呼吸になりやすく、喉が乾燥しがちなので、枕元に濡れタオルを干すだけでも効果があります。こまめな水分補給も忘れずに行い、粘膜を内側から潤しましょう。次に、体を冷やさないこと。体が冷えると血行が悪くなり、免疫力も低下します。首元をスカーフなどで温めたり、温かい飲み物を飲んだりして、体を保温するよう心がけましょう。食事は、喉に刺激の少ない、消化の良いものを選びます。粘膜の修復を助けるビタミンA(緑黄色野菜など)やビタミンC(果物など)を意識して摂るのも良いでしょう。もちろん、禁煙や節酒は必須です。また、「うがい」も有効なセルフケアです。外出から帰った後など、水やお茶でうがいをするだけでも、喉に付着したウイルスやホコリを洗い流す効果があります。ただし、イソジンなどの殺菌成分が強いもので頻繁にうがいをすると、かえって喉の常在菌まで殺してしまい、粘膜を傷つけることもあるため、使いすぎには注意が必要です。これらのセルフケアを試しても、一週間以上、喉の赤みや違和感が改善しない場合は、医療機関を受診するタイミングです。また、「痛みが徐々に強くなる」「片側だけが特に痛い」「声がれがひどくなる」「飲み込みにくい感じがある」「血の混じった痰が出る」といった症状が現れた場合は、一週間を待たず、速やかに「耳鼻咽喉科」を受診してください。セルフケアで対応できる範囲には限界があります。その限界を見極め、必要な時には専門家の力を借りることが、深刻な病気を見逃さないために最も重要なことなのです。