春先や秋になると、決まって喉が赤くなり、イガイガとした痒みや痛みを感じる。でも、熱はないし、風邪のようなだるさもない。そんな症状に毎年悩まされているなら、それは「アレルギー」が原因かもしれません。特に、花粉症やハウスダストなどのアレルギー性鼻炎を持っている人は、鼻だけでなく、喉にもアレルギー反応が現れることがよくあります。そのメカニズムは、二つの側面から考えることができます。一つは、「アレルギー性咽頭炎」です。スギやヒノキなどの花粉、あるいはハウスダストといったアレルゲン(アレルギーの原因物質)が、鼻だけでなく、喉の粘膜にも直接付着します。すると、喉の粘膜で免疫システムが過剰に反応し、ヒスタミンなどの化学物質が放出され、血管が拡張して炎症が起き、赤みや痒み、イガイガ感といった症状を引き起こすのです。これは、皮膚にアレルゲンが触れて痒くなるのと同じ反応が、喉で起きていると考えると分かりやすいでしょう。もう一つの、そして非常に多い原因が、アレルギー性鼻炎による「後鼻漏(こうびろう)」です。アレルギー性鼻炎では、多量の鼻水が作られますが、その鼻水が鼻の前から流れ出るだけでなく、喉の方へと流れ落ちていくことがあります。これが後鼻漏です。この流れ落ちてくる鼻水には、アレルゲンや炎症を引き起こす物質がたくさん含まれています。この刺激性の高い鼻水が、常に喉の粘膜を刺激し続けることで、喉は慢性的な炎症状態となり、赤みや痛み、しつこい痰の絡み、咳払いの原因となるのです。特に、朝起きた時に喉の不快感が強い場合は、夜間に寝ている間に後鼻漏が溜まっている可能性が考えられます。もし、あなたの喉の赤みが、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみといった、典型的なアレルギー症状と共に現れるのであれば、その原因はアレルギーである可能性が非常に高いです。この場合の専門診療科は、「耳鼻咽喉科」あるいは「アレルギー科」です。抗ヒスタミン薬の内服や、点鼻薬などを用いて、アレルギー反応の大元を抑えることが、つらい喉の症状を改善するための最も効果的な治療法となります。