いちご舌は、子供の病気、特に溶連菌感染症のサインとして広く知られています。しかし、この特徴的な症状は、大人に現れることもあります。大人の場合、子供とは少し異なる原因も考えられるため、注意が必要です。大人がいちご舌になった場合、まず疑われるのは、やはり子供と同じく「溶連菌感染症」です。大人は子供に比べて抵抗力があるため、感染しても無症状であったり、軽い喉の痛みだけで済んだりすることも多いですが、疲労やストレスで免疫力が落ちていると、子供と同じように高熱や強い喉の痛み、そしていちご舌といった典型的な症状が現れることがあります。家族に溶連菌にかかっている子供がいる場合は、その可能性が非常に高いでしょう。この場合は、合併症を防ぐためにも、内科や耳鼻咽喉科を受診し、抗生物質による治療を受けることが大切です。次に、溶連菌以外で考えられるのが、「全身性の炎症性疾患」です。例えば、前述の「川崎病」は、主に乳幼児の病気ですが、成人で発症するケースも稀に報告されています。原因不明の高熱といちご舌、目の充血などが続く場合は、この可能性も考慮し、総合病院のリウマチ・膠原病内科などを受診する必要があります。また、舌そのものの炎症である「舌炎(ぜつえん)」によって、舌が赤く腫れ、味蕾(みらい)がブツブツと目立つことで、いちご舌のように見えることもあります。舌炎の原因は様々で、鉄分や亜鉛、ビタミンB群といった「栄養素の欠乏」、あるいは入れ歯や歯の詰め物による「物理的な刺激」、口腔内の乾燥、ストレスなどが挙げられます。この場合は、食生活の見直しや、口腔ケアの徹底が改善に繋がります。気になる場合は、「歯科」や「口腔外科」に相談するのも良いでしょう。さらに、非常に稀ですが、薬剤の副作用や、重金属へのアレルギー反応として、舌に炎症が起きることもあります。このように、大人のいちご舌は、単純な感染症から、全身性の疾患、栄養状態の反映まで、その背景は多岐にわたります。もし、数日経っても改善しない、あるいは他の全身症状を伴う場合は、安易に考えず、まずは内科を受診して、原因を調べてもらうことが賢明です。