妊娠中は、ホルモンバランスの変化や免疫力の変動により、多くの女性が「カンジダ膣炎」にかかりやすくなります。おりものの増加やかゆみといった不快な症状に悩まされている時に、「プールに入っても大丈夫だろうか」「症状が悪化したり、他の人にうつしたりしないだろうか」と心配になるのは当然のことです。カンジダ膣炎は、カンジダという真菌(カビの一種)が、膣内で異常増殖することで起こる病気です。このカンジダ菌は、もともと多くの人の皮膚や粘膜に存在する常在菌であり、プールに入ったからといって、新たに感染することはほとんどありません。また、プールの水に含まれる塩素によって、カンジダ菌が他の人に感染する可能性も極めて低いと考えられています。つまり、「プールに入ることでカンジダ膣炎になる」あるいは「他の人にカンジダをうつす」という心配は、基本的には不要です。しかし、問題となるのは、すでにカンジダ膣炎を発症している、あるいはその症状がある場合に、プールに入ることの影響です。まず、プールの水に含まれる「塩素」が、デリケートになっている外陰部や膣の粘膜を刺激し、かゆみやヒリヒリ感といった症状を悪化させてしまう可能性があります。また、濡れた水着を長時間着用していると、デリケートゾーンが高温多湿の状態になります。これは、カンジダ菌がさらに増殖するのに最適な環境であり、症状を長引かせる原因となり得ます。したがって、もし、かゆみやおりものの異常といったカンジダ膣炎を疑う症状がある場合は、まず「産婦人科」を受診し、適切な治療を受けることを優先すべきです。治療によって症状が完全に治まってから、医師の許可を得てプールに入るのが最も安全な手順です。もし、軽い症状でプールに入る場合でも、プールから上がったらすぐにシャワーでよく洗い流し、濡れた水着は速やかに着替えて、デリケートゾーンを清潔で乾燥した状態に保つことを徹底しましょう。自分の体の状態を正しく把握し、無理をしないことが、楽しいマタニティライフを送るための秘訣です。