鏡で口の中を覗いてみたら、喉の奥が真っ赤になっている。でも、熱はないし、体もだるくない。そんな経験はありませんか。発熱を伴わない喉の赤みは、多くの人が経験する症状ですが、その背景には様々な原因が隠されています。単なる軽い炎症から、注意が必要な病気のサインまで、可能性を知っておくことが大切です。まず、最も一般的な原因が「ごく初期の風邪」です。本格的な風邪の症状(発熱、鼻水、咳など)が現れる前段階として、ウイルスが最初に付着する喉の粘膜で、軽い炎症が起きている状態です。この段階で、十分な休息と栄養、うがいなどを心がけることで、本格的な発症を防げることもあります。次に考えられるのが、「物理的な刺激や環境要因」です。例えば、カラオケで歌いすぎたり、大声で応援したりして喉を酷使した場合、声帯だけでなく咽頭の粘膜も炎症を起こして赤くなります。また、空気が乾燥している冬場や、エアコンの効いた部屋に長時間いると、喉の粘膜が乾燥し、防御機能が低下して赤みが出やすくなります。辛いものや熱いものの食べ過ぎ、飲酒、喫煙なども、喉の粘膜を直接刺激し、赤みを引き起こす大きな原因です。さらに、見逃されがちなのが「逆流性食道炎」です。寝ている間などに、胃酸が食道を通って喉まで逆流してくることで、喉の粘膜が胃酸によって焼かれ、慢性的な炎症を起こして赤くなります。喉のヒリヒリ感や、咳払い、声がれ、胸やけといった症状を伴うことが多いのが特徴です。また、「アレルギー反応」によって喉が赤くなることもあります。花粉やハウスダストなどが喉の粘膜に付着し、アレルギー性の炎症を引き起こすのです。鼻水や目のかゆみといった他のアレルギー症状があれば、その可能性が高いでしょう。このように、熱がない喉の赤みは、一過性の刺激から、生活習慣に起因するもの、あるいは消化器やアレルギーの病気まで、その原因は多岐にわたります。赤みが数日たっても引かない、あるいは他の症状が出てきた場合は、専門医に相談することが大切です。