妊娠中に、上の小さなお子さんと一緒に市民プールやレジャープールへ行く。これは、夏の楽しい家族の思い出となる一方で、妊婦さんにとっては、感染症のリスクと隣り合わせの状況でもあります。特に、保育園や幼稚園といった集団生活を送っている子供は、様々な感染症の「運び屋」となりやすく、そこから妊婦さんへとうつってしまうケースは少なくありません。上の子と一緒のプールで、妊婦さんが特に注意すべき感染症は、いわゆる「三大夏風邪」と呼ばれる「手足口病」「ヘルパンギーナ」「咽頭結膜熱(プール熱)」です。これらの病気は、子供がかかると比較的軽症で済むことが多いですが、免疫のない大人がかかると、高熱や激しい痛みで重症化し、妊娠中の体に大きな負担をかけることになります。これらのウイルスは、感染した子供の咳やくしゃみなどの飛沫、あるいは便の中に排出されます。プールサイドで子供が咳をしたり、水中でお尻を洗ったり、トイレの後に手洗いが不十分だったりすると、ウイルスが環境中に広がり、それを妊婦さんが知らず知らずのうちに口や鼻から取り込んでしまうのです。感染を防ぐためには、まず、お子さんの体調をよく観察することが第一です。少しでも熱があったり、機嫌が悪かったり、発疹が出ているような場合は、プールに行くのを見合わせる勇気も必要です。プールでは、お子さんから目を離さず、他の子供との過度な接触や、おもちゃの貸し借りにも注意しましょう。そして、最も重要なのが、プールから上がった後のケアです。まず、親子共にシャワーで全身をしっかりと洗い流します。目も軽く洗浄しましょう。トイレの後や、何かを食べる前には、必ず石鹸で丁寧に手洗いをする(させる)ことを徹底してください。また、水分補給の際には、ペットボトルや水筒の回し飲みは避けましょう。さらに、妊婦さん自身の免疫力を落とさないことも大切です。人混みでの長時間の滞在は避け、疲れを感じたら、日陰で十分に休息をとるようにしましょう。家族の楽しい時間を守るためにも、感染症に対する正しい知識と、少しの慎重さを持つことが、何よりの予防策となります。