自律神経失調症の疑いで、勇気を出して心療内科を受診しようと決めても、「一体、何をされるのだろう」「どんな話をしなきゃいけないんだろう」と、不安でいっぱいになるのは当然のことです。心療内科での診察は、決して怖いものではありません。むしろ、あなたの苦しみを理解し、共に解決策を探していく、パートナーシップの始まりです。ここでは、初診から治療開始までの一般的な流れをご紹介します。まず、初診で最も時間をかけて行われるのが、丁寧な「問診」です。医師やカウンセラーは、あなたの話をじっくりと聞くことから始めます。どのような症状が、いつから、どんな時に、どの程度つらいのか。そして、その症状だけでなく、あなたの日常生活、仕事や家庭でのストレス、睡眠や食事の状況、これまでの病歴、性格的な傾向など、あなたという人間を多角的に理解しようとします。うまく話せるか心配かもしれませんが、話したいことから、話せる範囲で構いません。これが、診断と治療方針を決める上で、最も重要なプロセスです。次に、必要に応じて「心理検査」が行われることがあります。質問紙に答えたり、簡単な作業をしたりするもので、あなたのストレスの度合いや、抑うつ気分、不安の強さなどを客観的なデータとして評価し、診断の参考にします。検査と問診が終わると、医師から診断についての説明があります。そして、今後の治療方針が提案されます。治療の柱は、主に「薬物療法」「心理療法(カウンセリング)」「生活指導」の三つです。薬物療法では、症状に応じて、自律神経のバランスを調整する薬、不安を和らげる抗不安薬、気分の落ち込みを改善する抗うつ薬、あるいは体質改善を目指す漢方薬などが、ごく少量から慎重に処方されます。薬への不安があれば、遠慮なく医師に質問しましょう。心理療法では、専門のカウンセラーと共に、ストレスへの対処法(コーピング)を学んだり、物事の受け止め方の癖(認知の歪み)を見直したりする「認知行動療法」などが行われます。そして、睡眠、運動、食事といった基本的な「生活指導」も、自律神経を安定させる上で欠かせない治療の一環です。これらの治療法を組み合わせ、あなたに合ったオーダーメイドの治療プランを、医師と共に作っていく。それが、心療内科での治療のスタートなのです。
心療内科では何をするの?初診から治療までの流れ