高校生にもなると、体はすっかり大人びてきますが、いざ風邪をひいたり、体調を崩したりした時に、「病院へ行くなら、今まで通り小児科?それとも、そろそろ内科へ行くべき?」と、本人も親御さんも迷ってしまうことがよくあります。この問いに対する明確な法律上の決まりはありませんが、上手な選び方のヒントは存在します。まず、日本小児科学会は、小児科が対象とする年齢を「子どもが成人するまで」としており、これはおおむね二十歳前後までを指します。つまり、高校生が小児科を受診することは、医学的な観点からは全く問題ありません。しかし、実際の医療現場では、クリニックごとに「中学生まで」「十五歳まで」といった独自の年齢制限を設けている場合も少なくありません。そのため、まずかかりつけの小児科に、高校生でも診てもらえるかを確認するのが第一歩となります。では、どのような場合にどちらの科を選ぶのが良いのでしょうか。一つの目安は「症状の種類」です。発熱や咳、鼻水といった、いわゆる「風邪」の症状であれば、子供の頃からの成長や体質をよく知る、かかりつけの小児科医に診てもらうのが安心でスムーズでしょう。予防接種の履歴なども全て把握してくれているため、的確な診断が期待できます。一方、高血圧や脂質異常症といった生活習慣病の疑いや、胃潰瘍のような消化器の病気、あるいは月経に関する悩みなど、より「大人に近い病気」が考えられる場合は、内科や、それぞれの専門科(循環器内科、消化器内科、婦人科など)の受診を検討するのが賢明です。また、喘息やアレルギー、発達障害など、子供の頃から継続して治療を受けている「慢性疾患」がある場合は、病気の経過を最もよく理解している小児科医のもとで、成人医療へのスムーズな移行(トランジション)について相談しながら、治療を続けるのが理想的です。本人の気持ちも尊重しつつ、症状や病気の種類に応じて、柔軟に診療科を選ぶ。それが、高校生という、子供と大人の過渡期にある世代の、賢い医療機関のかかり方と言えるでしょう。
高校生は小児科?内科?年齢で見る上手な選び方