めまい、動悸、頭痛、原因不明の倦怠感。体は確かにつらいのに、病院で検査をしても「特に異常はありません」と言われてしまう。そんな、出口の見えない不調に悩んでいる方は、もしかしたら「自律神経失調症」かもしれません。そして、多くの人が最初に直面する壁が、「一体、何科を受診すれば良いのだろう?」という問題です。この問いに対する答えは一つではありませんが、最も適切なアプローチを知っておくことが、ドクターショッピングを避け、的確な治療への最短ルートとなります。結論から言うと、自律神経失調症を専門的に診断・治療する診療科は「心療内科」です。心療内科は、ストレスなどの心理的な要因が、体の症状(心身症)として現れている状態を専門に扱います。自律神経失調症は、まさにこの心身症の代表格であり、心療内科医は、薬物療法だけでなく、カウンセリングや生活指導を通じて、心と体の両面からアプローチしてくれます。しかし、いきなり心療内科を受診することに、ハードルの高さを感じる方も少なくないでしょう。また、その症状が、本当に自律神経だけの問題なのか、あるいは何か身体的な病気が隠れていないかを確認することも非常に重要です。そこで、もう一つの賢明な選択肢が、まず「一般内科」や「総合診療科」を受診することです。内科では、血液検査や心電図などを用いて、甲状腺の病気や貧血、心臓疾患といった、似たような症状を引き起こす可能性のある「器質的な病気」がないかどうかをスクリーニングしてくれます。ここで「身体的には大きな問題はない」というお墨付きをもらうことは、大きな安心材料となり、その後の治療への重要なステップとなります。そして、内科で異常が見つからなかった場合に、医師から心療内科を紹介してもらう、という流れが非常にスムーズです。まずは、体の病気を見逃さないために内科へ。そして、心の専門家である心療内科へ。この二段階のアプローチが、原因不明の不調に悩むあなたを、正しい道筋へと導いてくれるでしょう。
自律神経失調症を疑ったら、最初に何科へ行くべきか