マタニティスイミングや夏のレジャーでプールを利用する際、妊娠中の女性が特に注意しておきたい感染症がいくつかあります。その多くは、赤ちゃんに直接影響を及ぼすものではありませんが、母体の体調を崩し、結果として妊娠生活に影響を与えかねないため、正しい知識を持っておくことが大切です。まず、代表的なのが「咽頭結膜熱(プール熱)」です。これは、アデノウイルスによって引き起こされる感染症で、三十九度前後の高熱、喉の強い痛み(咽頭炎)、そして目の充血(結膜炎)を三つの主症状とします。感染者の咳やくしゃみなどの飛沫や、ウイルスが付着したタオルなどを介して感染します。プールの水自体が直接の原因となることは稀ですが、集団生活の場で流行しやすいのが特徴です。妊娠中に高熱や強い喉の痛みに見舞われるのは非常につらく、体力を消耗するため、注意が必要です。次に、「流行性角結膜炎(はやり目)」も、同じくアデノウイルスが原因です。こちらは、目の充血や目やにといった結膜炎の症状が非常に強く現れます。感染力が極めて強く、ウイルスが付着した手で目をこすることで簡単に感染します。プールサイドやロッカーなど、不特定多数が触れる場所に注意が必要です。また、夏風邪の代表格である「手足口病」や「ヘルパンギーナ」も、プールで感染が広がりやすい病気です。これらは、エンテロウイルスやコクサッキーウイルスが原因で、感染者の便や飛沫を介して感染します。大人がかかると高熱や激しい喉の痛み、手足の痛みなどを伴い、重症化することがあるため、特に上の子がいる妊婦さんは、子供が集まるレジャープールなどでは注意が必要です。皮膚の感染症としては、「水いぼ(伝染性軟属腫)」や、ウイルス性の「イボ(尋常性疣贅)」、そして「水虫(足白癬)」などが挙げられます。これらは、湿った床やビート板、タオルなどを介して感染する可能性があります。これらの感染症を防ぐための基本は、やはり「手洗い」と「接触後のケア」です。プールから上がったら、必ずシャワーで全身をよく洗い流し、目を洗浄しましょう。そして、タオルや水着などの共用は絶対に避けること。これらの基本的な対策が、母体を様々な感染症から守ることに繋がるのです。
プールでうつる可能性のある感染症、妊婦が注意すべきは?