熱もないし、特に病気というわけでもなさそうなのに、気づくといつも喉が赤い。そんな方は、ご自身の日常生活の中に、喉に負担をかける習慣が隠れているのかもしれません。喉の粘膜は非常にデリケートなため、日々の些細な習慣の積み重ねが、慢性的な炎症と赤みを引き起こすことがあります。まず、代表的なのが「喉の酷使」です。教師やコールセンターのオペレーターなど、仕事で長時間話し続ける人はもちろん、カラオケが趣味の人、あるいは普段から声が大きい人も、知らず知らずのうちに声帯や喉の粘膜に大きな負担をかけています。過度な振動や摩擦によって、粘膜が炎症を起こし、常に赤い状態になってしまうのです。意識的に声のトーンを抑えたり、こまめに休憩をとって喉を休ませたり、会話の合間に水分補給をしたりといった工夫が必要です。次に、現代人にとって大きな問題となっているのが「乾燥」です。冬場の乾いた空気はもちろん、夏場でもエアコンが効いた室内は、湿度が非常に低くなっています。乾燥した環境に長時間いると、喉の粘膜から水分が奪われ、粘膜を覆ってウイルスなどの侵入を防いでいる粘液のバリア機能が低下します。これにより、喉は無防備な状態となり、わずかな刺激でも炎症を起こしやすくなってしまうのです。加湿器を使用したり、濡れタオルを干したりして、室内の湿度を五十~六十パーセントに保つことが理想です。マスクの着用も、自分の呼気に含まれる湿気で喉を潤す効果があり、非常に有効です。また、「食生活」も大きく影響します。唐辛子などの香辛料を多く使った刺激の強い食べ物や、熱すぎる飲み物は、喉の粘膜を直接傷つけ、炎症の原因となります。アルコール、特に度数の高いお酒は、粘膜を脱水させ、さらに炎症を悪化させます。喫煙は、言うまでもなく最悪です。タバコの煙に含まれる数千もの有害物質が、喉の粘膜を慢性的に刺激し続け、赤みだけでなく、がんのリスクさえも高めます。もし、あなたの喉が常に赤いのであれば、それは体が発する生活習慣への警告サインかもしれません。大声を控える、喉を潤す、刺激物を避ける、禁煙する。これらの地道な改善が、健やかな喉を取り戻すための第一歩となります。
喉の酷使と乾燥、赤みを招く生活習慣