膝に痛みを感じている時、良かれと思ってやっているその行動が、実は症状をさらに悪化させる原因になっているかもしれません。痛みを長引かせず、スムーズな回復を目指すためには、膝に負担をかけるNG行動を避けることが非常に重要です。まず、最もやってはいけないのが「痛みを我慢して、これまで通りに運動や仕事を続ける」ことです。痛みは、体からの「それ以上、負担をかけないで」という危険信号です。このサインを無視して無理を続けると、膝関節の炎症がひどくなり、軟骨のすり減りを加速させてしまいます。特に、ジャンプや急な方向転換を伴うスポーツ、重い荷物を持つ作業などは、痛みが治まるまで完全に中止すべきです。次に、意外と知られていないのが「急に激しい筋力トレーニングを始める」ことの危険性です。膝の痛みの原因の一つに筋力低下があるため、「膝を鍛えなければ」と焦って、自己流でスクワットなどを始める人がいますが、これは逆効果になることがあります。正しいフォームで行わないと、かえって膝関節に過剰な負担をかけてしまい、痛みを悪化させるだけです。筋力トレーニングは、必ず医師や理学療法士の指導のもと、膝に負担の少ない運動から、段階的に始めるようにしましょう。また、「正座やあぐら、横座り」といった、膝を深く曲げたり、ねじったりする床での生活習慣も、膝にとっては大きな負担となります。できるだけ椅子やベッドを使った洋式の生活に切り替えることをお勧めします。肥満も、膝への負担を増大させる大きな要因です。膝の痛みは、体重が1キロ増えるだけで、歩行時にはその三倍、つまり3キロ分の負荷が増すと言われています。痛みがあるからといって動かずにいると、体重が増え、さらに膝が痛くなるという悪循環に陥ってしまいます。食事内容を見直し、適切な体重管理を心がけることも、重要な治療の一環です。そして、何よりも最大のNG行動は、「原因がわからないまま、自己判断で放置する」ことです。膝の痛みの裏には、様々な病気が隠れている可能性があります。痛みが続く場合は、必ず整形外科を受診し、専門家による正しい診断と指導を受けるようにしてください。